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【ネタバレ考察】『無頼』井筒和幸のジャパニーズマン

マーティン・スコセッシがギャングのクロニクルを『アイリッシュマン』でスタイリッシュに描いていた。日本では今『ヤクザと家族』、『すばらしき世界』、『孤狼の血 LEVEL2』と空前のヤクザ映画ブームとなっているが、そこに井筒監督は重厚なクロニクルとして『無頼』を置いた。アイリッシュマンに対して、これがジャパニーズマンであると言いたげに。

2021映画

【ネタバレ酷評】『すばらしき世界』:ショーシャンクの空に、その後

西川美和はそんな受刑者出所後の苦悩を時にコミカルに描いて魅せる。役所広司演じる主人公・三上は旭川で十年以上の服役を終える。軍事演習のように勇ましく歩き、過剰に大きな声で挨拶をする彼に禍々しさを覚える。爆弾が爆発しそうなハラハラドキドキが画面を支配する。彼は、久しぶりのシャバに「今度こそはまともに生きよう」とポジティブな表情を浮かべ、新たな人生を歩み始める。自分の母親をテレビディレクターの男・津乃田(仲野太賀)が近づいてきたこともあり、前向きだ。しかし、そんな彼の希望は不協和音によって打ち砕かれる。スーパーに行けば万引き犯に間違えられる、免許の更新に行こうとすれば教習所に通わねばならない。脳に持病がある彼の精神は、不安定でフラストレーションが溜まると暴力的に振る舞ってしまう。彼には人を助けたい心はあれども力が制御できず、不良に絡まれていたおっさんを助けようとしてチンピラをフルボッコにしてしまい、それが原因でテレビの案件がなくなってしまったりするのだ。そんな彼の心理を興味本位、ゲスな心で解剖しようとする2人のテレビ関係者。幼少期に親の愛を受けず施設に入れられたのが原因ではとズカズカ彼の精神領域に土足で踏み入れていくのだ。

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【ネタバレ考察】『クラッシュ 4K』不思議の国のアリスの構造に耽溺するアリス

高速道路が映し出される。車はA地点からB地点にまっすぐ向かおうとしている。社会のシステムから逸脱することを許さないように従順である。そこに、カリスマ的交通事故マニアであるヴォーン(イライアス・コティーズ)は、まるで男女が交わる時のピストン運動のように、右へ左へと肉体的動きを車に宿し、煽り運転しながら欲情する。交通事故で、肉体に金属を埋め込まれ、自由な動きをする肉体が制御されていく様子。車の屋根が閉まる動作に併せて乳房がボロンと開く機械の動きと連動する肉体。そして、交通事故を通じて、制御された機械が制御できないひしゃげ方と煙の噴出が生まれる様子に快感を覚える姿にそれが見えてくる。