【ネタバレ考察】『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』Adieu au langage,good-bye cinéma
新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に(1997)Neon Genesis Evangelion – The End of Evangelion 監督:庵野秀明、鶴巻和哉出演:緒方恵美、林原め…
新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に(1997)Neon Genesis Evangelion – The End of Evangelion 監督:庵野秀明、鶴巻和哉出演:緒方恵美、林原め…
濱口竜介映画の面白いところは、会話劇でありながらも映画的ショットを常に意識しているところにある。『親密さ』における第一部から第二部に切り替わるまでのスムーズな動き、『寝ても覚めても』における冒頭のストーカーシーンにおける距離感と丘の横移動を使った心の距離感をリンクさせていくところに魅力がある。クローズアップ一撃必殺なホン・サンスとは違って、同じ会話劇監督であっても映画史の積み重ねから来る手数の多さ、あるいは発展のさせ方に魅力がある。
恋のクレイジーロード(2018) 監督:白石晃士出演:田中俊介、宇野祥平、芦那すみれ、細川佳央etc 評価:80点 おはようございます、チェ・ブンブンです。 Mini Theater AIDのリターンであるサンクスシアタ…
チャウシェスク政権下で見つかった落書き。自由を求めるメッセージが込められたその落書きを巡って秘密警察は動き始め、若者Mugur Calinescuが殺されてしまう。それを、テレビ番組のようなステージの上で人々が再構築していく。話されることは物騒なことばかりなのに、そこで挿入される映像は子どもが「おかあさんといっしょ」のような空間の中でワイワイ遊んでいたり、経済成長しているアピールをするCM、軍隊や市民による集団行動だったりするのだ。つまり、表面的には国家として成功しているように見えて、その実情は市民の声を踏みにじっている。それをまるで、シールをひらいてとじる感覚で演劇パートとフッテージを交差させることによって辛辣に社会批判してみせるのだ。プロパガンダの再構築によって新たな社会批評の方法を模索している監督にセルゲイ・ロズニツァがいる。彼は『国葬』の中でスターリン時代のプロパガンダを再構築することによって、プロパガンダで封殺されて市民の痛みを強調していたが、『UPPERCASE PRINT』の場合、淡々と喋る役者の演技とプロパガンダが悪魔合体することによって、痛みが継承されていく過程まで描けていた。
太陽は動かない(2020) 監督:羽住英一郎出演:藤原竜也、竹内涼真、ハン・ヒョジュ、ピョン・ヨハン、市原隼人、南沙良etc 評価:35点 おはようございます、チェ・ブンブンです。 昨年、映画ファンを震撼させた「どーん!…
ほんとうのピノッキオ(2019)Pinocchio 監督:マッテオ・ガローネ出演:Federico Ielapi、ロベルト・ベニーニ、ロッコ・パパレオ、マリーヌ・ヴァクトetc 評価:95点 おはようございます、チェ…
主人公、みのり(萩原みのり)は観光地の甘味処でバイトする美人な大学生。しかしながら、彼女は目の前にある不条理には我慢できず、友人がチンピラに襲われようものならそのチンピラに噛み付く。コンパで、嫌な想いをしているのにそれをひた隠しにしてまたコンパに行こうとしている状況にも物申す。通常でなら、空気の読めない人として人間関係が絶たれて終わるのだが、彼女は「美人」という仮面をつけられているため、どんなに嫌なことを拒もうとしても粘着質に彼女をなだめることでその場に留めようとする。
2019年2月、香港政府が逃亡犯条例および刑事相互法的援助条例の改正案提出を発表。これにより、香港市民は自由を求めて大規模デモを行った。警察と市民の間での軋轢は日に日に激しさを増し、Twitterでは警察による催涙弾、放水、暴行の様子が連日拡散されていった。
正直、『DAU. New Man』単体であれば非常に面白い作品だ。まさしく若松孝二の『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』のような理想を抱き、己の肉体を鍛錬する者たちがドンドン腐敗していき組織が破壊されて行く様子が生々しく描かれて行く。ソ連の閉塞感というものを捉えるには十分な作品であり、スキンヘッドの男マキシム(Maksim Martsinkevich)がX-MENに出てきそうな人体実験に励んだり、刑務所のような場所で格闘訓練をしたりする場面は視覚的面白さがある。男性的訓練が女=弱い存在に対して搾取して行く様子もよく描けている。その積み重ねが上手いので、終盤の破壊シーンに説得力が帯びていき、抑圧された世界に対する怒りの再現として傑作になっている。
qp COLA a(@Na_Chos_)監督、(株)おくりバント社長 高山洋平(@takayamayohei1)主演で2020年コロナ禍から製作されているTwitter映画シリーズ第3弾『FISHだ!!JOE』。監督が「チェ・ブンブンに分からない映画ネタを仕込もう」と言うことで本作の骨格に『フィッシング・ウィズ・ジョン』が起用された。本作はジム・ジャームッシュ映画初期作品の常連ジョン・ルーリーが、毎回友人と一緒に釣りをするテレビシリーズだ。『FISHだ!!JOE』におけるサイケデリックな音楽や、拳銃でタイを仕留めようとする高山さんの姿はこの作品から来ている。ジム・ジャームッシュやウィレム・デフォー好きながらもこのシリーズは全く知らなかった。面白そうだったので取り寄せて観賞したのだが、とてつもなく狂った内容でした。