『少しずつ』あるニジェール人の記録

少しずつ(1970)
Petit à petit

監督:ジャン・ルーシュ

評価:80点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

日仏学院のメディアテークにて借りたジャン・ルーシュBOXにて『少しずつ』を観た。本作は『ジャガー』の続編的立ち位置の作品ではあるのだが、『ある夏の記録』とも密接に関わっている作品であり、ジャン・ルーシュを語る上で重要な一本であろう。

『少しずつ』あらすじ

An African travels to Paris to learn about the construction of tall buildings, but is soon taken up with the oddities of French life.
訳:高層建築の建設について学ぶためにパリを訪れたアフリカ人男性が、やがてフランスの生活に見られる奇妙な側面に夢中になっていく。

IMDbより引用

あるニジェール人の記録

ニジェールで会社「少しずつ(Petit à petit)」を経営しているダムレが友人と共に高層ビルの建築のためにパリへやってくる。そしてフランス人の生態系を知るために「顔を測らせてください」とインタビューして回る。その計測は初対面の人に行うには異様なものとなっており、口を大きく開けさせ、歯を凝視するのだ。ゆえに蔑視の眼差しを向けて去っていく人もいる。

『ある夏の記録』では街行く人に幸せとは何かを訊いて回り、カメラを前に誠実な演技ができるのかを試す作品であった。『少しずつ』も同様にダムレが即興的にパリの人々へ質問して回る。パリを扱った映画においてアフリカの移民は周辺化され、フレームの外側に排除される傾向がある。また、ジャン・ルーシュ自体もそうだが、ヨーロッパの白人が植民地主義的にアフリカへ渡りカメラを回したり異様な間でその地の人々へ迫ったりする。

本作は逆の立場から描くことで、このような問題点を省みるものとなっており、『人間ピラミッド』や『ある夏の記録』で模索していた撮影と文化人類学との関係で生み出される問題を深化させた一本だといえよう。