『ヘザース/ベロニカの熱い日』スクールカースト革命

ヘザース/ベロニカの熱い日(1988)
Heathers

監督:マイケル・レーマン
出演:ウィノナ・ライダー、クリスチャン・スレーター、シャナン・ドハティ、リザンナ・フォークetc

評価:50点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

「死ぬまでに観たいカルト映画101」に掲載されている『ヘザース/ベロニカの熱い日』を観た。本作はスクールカーストを風刺した作品で『ハイスクール白書 優等生ギャルに気をつけろ!』『ゴーストワールド』『ナポレオン・ダイナマイト』へと繋がる重要作。

『ヘザース/ベロニカの熱い日』あらすじ

同じヘザーというファーストネームを持つお嬢様集団ヘザースにいじめられ暗い学園生活を送るベロニカ(ウィノナ・ライダー)だが、転校生のJ・D(クリスチャン・スレイター)と出会った時から、2人の破壊に取り憑かれたような日々が始まる。パーティーで酔いつぶれ馬鹿にされた夜、ベロニカはJ・Dをそそのかし、へザースの1人、チャンドラーを自殺に見せかけて殺す。そして今度はベロニカを輪姦したと言い吹らしたカートとラムをホモの自殺に見せかけて射殺する。ショックを受けたもう1人のへザー、デュークは自殺しようとして危うくベロニカに止められる。今や学校は自殺ヒステリーで騒然となり、どこまでもエスカレートするJ・Dの行動にべロニカさえ恐怖を覚える。そしてある日ベロニカはJ・Dの計画を知ることとなる。それは全学生の遺書を残し、学生もろとも学校を爆破するというものだった。翌日学校に行くと体育館に集会のため全学生が集まり、地下ではJ・Dが爆弾を仕掛けていた。それを見つけたベロニカは、J・Dに向かって銃を撃ち、ついにJ・Dは死ぬ。そして混乱する校内をひとり歩くべロニカの姿があった。

映画.comより引用

スクールカースト革命

学校の頂点に立つ不良女グループ《ヘザース》の取り巻きであるベロニカは、スクールカーストにうんざりしていた。そんな中、オムファタルともいえる転校生JDが現れたことで革命に転じていく。

プロットとしては『フットルース』同様に西部劇となっている。流離いの男が村社会の問題を解決していく流れはアメリカ映画の伝統としてあるようだ。しかし、『フットルース』が黄金の大地のショットでもって露骨に西部劇をやろうとしていたのに対し、こちらはシニカルさを強調するために「不思議の国のアリス」のモチーフを援用している。アメリカ映画にもかかわらず不自然にもクロッケーの描写が挿入されるのだが、これはクロッケーをする赤の女王の場面における不条理さとスクールカーストの不条理を結び付けているといえる。

スクールカーストは日本にもある。ジェンダーでわけるのは適切ではないとはいえ、女性コミュニティの陰惨さは共通している気がする。わたしの高校時代、成績は常にトップ10に入っており、スポーツ万能、コミュ力が高くオタク層である私にも壁なく話しかけてくれた同級生がいた。卒業後、別の同級生の女と呑みに行った際にその話をしたら「アイツはヤバい女だよ。実は彼女のせいでクラスメイトからハブられたことがある」と言われたことがあった。どうやら、スクールカーストを牛耳っていたようで、敵認定されると組織ぐるみでハブってくるらしい。男子をも味方につけてしまうので女子の間では恐れられていたのだとか。だが、男子からは一切わからなかった。こういった女性関係の陰惨さは、社会人になり女性職場へ配属された際に強く感じた。男の場合は『ファイト・クラブ』よろしく正面から殴り合えば済むことが多いのだが、女コミュニティの場合政治的に陰惨に追い込んでいくイメージがある。ジェンダー論的に良くない考えだと思いつつも、明確に差がありそういったコミュニティにいたくないと思ってしまう。

閑話休題、映画に戻ると本作は実際問題転覆し難いスクールカーストの鬱憤を晴らすような物語となっており、学校を牛耳る者がいとも簡単に死んでいく姿はスカっとする。だが、個人的には『ナポレオン・ダイナマイト』のようにダサかっこいいダンスで学校を制圧したり、『フットルース』のように暴力だけでなく民主主義的手法も取り入れた解決の方がスマートに思えてしまう。要はストレートすぎると露悪の映画といった印象が拭い去れなかった。

ちなみに、本作は脚本家のダニエル・ウォーターズがスタンリー・キューブリックに撮ってもらおうと考えて執筆されたらしい。

どうかしていますね。