『You Don’t Belong Here』小津のようなショットで陰惨なルーマニアを

You Don’t Belong Here(2026)

監督:フローリン・サーバン
出演:Adrian Văncică、Teodor Butănescu、Cristina Richter etc

評価:70点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

先日スイスで行われたロカルノ国際映画祭の受賞結果が発表された。

最高賞含め2冠に輝いたのがルーマニア映画『You Don’t Belong Here』であった。日本では『俺の笛を聞け』が紹介されているフローリン・サーバン監督の新作だが、大きく作風を変えているように思われる。

『You Don’t Belong Here』あらすじ

Follows a group of crime-solvers who travel to a campground to investigate an unsolved murder. Next day they find themselves in 1991, days before the murder, with a mysterious killer on the loose.
訳:未解決の殺人事件を捜査するためキャンプ場を訪れた捜査チームが、翌日、事件発生の数日前である1991年にタイムスリップしてしまう。そこでは、謎の殺人鬼が暗躍していた。

IMDbより引用

小津のようなショットで陰惨なルーマニアを

映画は基本的にワンシーンワンショット、固定で描かれている。夜のルーマニアの町をロングショットで捉えるところから始まる。映画は車上荒らしを映し出す。次に足を怪我した少年イオアンが病院へやってくる。イオアンは何かを隠しているようだ。イオアンの家族は母親が亡くなっており、病院の院長を務める父マリウスが男手ひとつで育てている。プライドが高く、男としての威厳があるマリウスと対照的にイオアンが配されている。観客はどうやらイオアンが車上荒らしグループの一員であること、そして何かやらかしていることを知りながら画と向き合う。やがて警察が現れイオアンが殺人事件に関与したと疑いをかけられる。

フローリン・サーバン監督は「小津安二郎のような映画を撮りたい」と公言していることから『東京暮色』を彷彿とさせる翳りを2時間半近く引き摺る作風となっている。『俺の笛を聞け』のような激しい運動は抑えめであり、冒頭の車上荒らしや後半のある場面を除いては静かなシーンが続く。何かがあり、逮捕されるかもしれないが、決定的瞬間が訪れない間延びした時間、引き延ばされた厭な間が続いていくのである。陰鬱な映画を撮らせたら右に出る国はいないルーマニア。病院が舞台だけにクリスティ・プイウ『ラザレスク氏の最期』を彷彿とさせる部分もあり、堅実なルーマニア映画であったといえよう。