「君が生きた証」、辛さを乗り越える描写は「マンチェスター・バイ・ザ・シー」以上

君が生きた証(2014)
RUDDERLESS(2014)

監督:ウィリアム・H・メイシー
出演:ビリー・クラダップ、
アントン・イェルチンetc

評価:80点

TwitterでNetflixオススメの映画を探していたら、「ファーゴ」の名優ウィリアム・H・メイシーが初監督した音楽劇「君が生きた証」がメチャクチャ面白いという評判を見かけたので、観てみました。これが、非常に良く出来た作品でしたぞ!

「君が生きた証」あらすじ

凄腕ビジネスマンのサムはある日、銃乱射事件で息子を失う。哀しみのあまり、誰とも接さないよう小舟に引っ越してから数年。息子の遺品が突如届く。その中に、息子が遺した曲が見つかる。哀しみを癒やす為に、ギター片手にBarで息子の曲を弾いてみると、とあるバンドマンからスカウトされ…

おじさんだって青春はある!

ブンブンが以前酷評した「マンチェスター・バイ・ザ・シー

」と同様、かなり女々しい話です。ブンブン、女々しい話は「アンジェリカの微笑み

」とか「ブロンド少女は過激に美しく」(どちらもオリヴェイラ監督作)のように吹っ切れている作品が好きなので、吹っ切れていない作品を観るとフラストレーションが溜まる。本作も似たような感じで女々しいのだが、どこか心に染みる傑作であった。

ブンブンの心を鷲掴みにしたポイントは、なんと言っても、「青春は年老いても訪れるんだ!」というメッセージ性でしょう。社会人1年目のブンブンにとって、狂乱が学生時代はキラキラし過ぎて、時折「あの頃に戻りたい」と思ってしまう。そんなブンブンには良い処方箋でした。

まず、言及すべきポイントは主人公サムの魅力溢れる人間味です。冒頭、大学に通う息子に対し電話で「商談成功したぜ!ランチ付き合え!えっつ?授業がって?さぼっちまえよ!」まるでパリピ学生のノリで接する父親サムのチャラサに惹かれます。こんな自由人な父親楽しそうだと。そんな明るい彼が、息子の死で心を閉ざしてしまう。仕事からも人からも離れ、一人寂しく小舟で暮らしている。

そんな彼が息子の遺した曲を手にし、新しい人生を歩もうとする。年齢も違う人とバンドを組んで巡業するという希望の光、前へ進もうとする様子にぐっと来ない訳がない。よく、年配の人とお話しすると、「もうおじさんの年になると、新しいコミュニティに入るのって凄い抵抗あるんだよね~」と聞く。本作はそんな人たち、過去に囚われた人たちに「そんなの関係ねぇ」と勇気の鉄槌を与えてくれます。

葛藤描写も素晴らしい

失った息子の痛みを、新しい世界で克服していこうとする父親サムだが、それと同時に「曲」の所有権を巡る葛藤を描いているところが、よくあるティーンエイジャー青春ものにない渋みがあって良い。社会人になると、どうしても話のなりゆきでウソやはったりが会話に混在してしまう。

父親も、最初はバンド生活するとは思っていないので、口を濁しながらも「俺の曲だ」と言ってしまう。そんな「死んだ息子の曲だ」と初対面の人になんて言えないので。それがバンド生活が本格化していくと、「本当にこのままでいいのか?」「元はと言えば、息子の死を克服するために歌ったのにな~」と心の中で葛藤が渦巻いてくる。

それをどう苦しんで乗り越えていくかというプロセスが本当に素敵すぎてブンブン大好きな一本となりました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です