『Jamais contente』エミリー・ドゥルーズ入門

Jamais contente(2016)

監督:エミリー・ドゥルーズ
出演:Léna Magnien 、パトリシア・マズィ

評価:60点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

日本ではシネフィルの踏み絵とも言われている「シネマ」でお馴染みの哲学者ジル・ドゥルーズ。あまりにも有名な名前である一方で、娘が映画監督であることはあまり知られていない。娘のエミリー・ドゥルーズは、オリヴィエ・アサイヤス、アンドレ・テシネ、クレール・ドゥニなどを輩出した伝説的テレビ映画シリーズ《Tous les garçons et les filles de leur âge》にて、神経質な女子高生の不安を描いたデビュー作『L’Incruste』を発表して以降、今でも新作を発表し続けている監督である。日本ではアテネ・フランセで長編デビュー作『新しい肌』が上映された程度となっている。先日、ジル・ドゥルーズ「シネマ」を買ったこともあり、彼女の作品を観てみることにした。今回は2016年の『Jamais contente』を鑑賞した。

『Jamais contente』あらすじ

Une adolescente de treize ans commence à jouer dans un groupe de musique alors qu’elle se dispute avec ses parents.
訳:13歳の少女が、両親と口論しながらバンド活動を始める。

※IMDbより引用

エミリー・ドゥルーズ入門

本作は、アルノー・デプレシャンの妹にあたるマリー・デプレシャンの児童書を映画化した作品となっている。主人公のオーロールは常に不機嫌で周囲に当たり散らしている13歳の少女である。彼女のイライラの根源には劣等感がある。だが典型的な逆張り天邪鬼陰キャなので、孤独なくせに歩み寄って来る人に嫌悪感を抱き、行き場のない悶々をぶつける先を探している。そんな中、病欠になった国語の先生の代理で現れた男が文学的才能を見出しフランシス・ポンジュをオススメする。また、オーロールに「バンドのボーカルにならないか」と男子が誘ってくる。

確かに本作は、ジル・ドゥルーズの娘という色眼鏡で見てしまうとライトな青春ものに思えてしまうかもしれない。オーロールを追尾する長回しや、思春期のモヤモヤという文学的内容を表情と音楽でもって映画にしていく技術は堅実ではあるものの、映画祭で賞を獲るような作品ではない地味な一本だ。しかし、日本だったらツンデレ美少女アニメになりゆるであろう内容で受けそうな気がした。

あと、《Tous les garçons et les filles de leur âge》の縁なのか、パトリシア・マズィ監督がオーロールの母親役で出演していたのが面白かった。