『あの娘と自転車に乗って』キルギス、アクタン・アリム・クバト長編デビュー作

あの娘と自転車に乗って(1998)
BESHKEMPIR

監督:アクタン・アリム・クバト
出演:ミルラン・アブディカリコフ、アルビナ・イマスメワetc

評価:95点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

ビターズ・エンドがキルギス映画『父は憶えている』を配給している。公式サイトではキルギスの情報をしっかりまとめており、感心しているのだが、実は本作の監督であるアクタン・アリム・クバトを長編デビュー作から配給している会社である。映画配給会社は、将来に向かって映画監督を発掘し、認知を拡大していく役割を担っているのだが、古くからキルギスの監督を発掘していたと知り熱くなる。そこで実際に観てみた。

『あの娘と自転車に乗って』あらすじ

思春期の少年の成長を静かなタッチで鮮烈に綴った青春ドラマ。監督は中央アジアはキルギスタン共和国の監督アクタン・アブディリカコフで彼の長編劇映画デビュー作(短編『ブランコ』が中央アジア映画祭にて上映)。脚本はアブディリカコフ、アヴタンディル・アディクロフ、マラト・サルル。製作はイリザイ・アリバエフ、セミドール・コラール。撮影はハッサン・キディリアレフ。音楽はヌルラン・ニシャーノフ。美術はエミール・ティレコフ。編集はティレク・マムベトワ。出演は監督の実子であるミルラン・アブディリカコフ、アルビナ・イマスメワほか。

映画.comより引用

キルギス、アクタン・アリム・クバト長編デビュー作

異性の肉体に興味を持つ少年たちの日常を牧歌的に描いた作品であるのだが、長編デビュー作だけあってあらゆる撮影技法を試してみようとする意欲に満ち溢れている。その手数と確かなショットの数々に開いた口が塞がらない。遠くから少年たちが走ってきて泥水へとドボンする。巨漢な女がヒルによる健康療法を試しているところを、少年たちは覗き見する。覗き見であることを強調する、木の板と板との間から覗き込む目の面白さ。少年が土埃を出しながら、砂の女体を掘るが、牛の登場により中断される。それを真上から撮影する。インド映画の野外上映が行われる。円形の眼差しがフレームの外に向けられる。白黒に対し映画はカラー。虚構と現実をパキパキに切り分ける。フィルム交換の際に、子どもたちが乱闘を始める。映画のような虚構が現実に侵食し、会場は盛り上がる。やがておばあちゃんが亡くなり、葬式となるのだが、消失点に向かって群れがゾロゾロと駆け抜けていく。そして映画はカラーとなり美しいあやとりの画で終わる。永遠と観ていられる美しい映画であった。

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