小学校~それは小さな社会~(2023)
監督:⼭崎エマ
評価:75点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
第36回東京国際映画祭で日本の小学校をテーマにしたドキュメンタリー『小学校~それは小さな社会~』が上映された。日本の学校がよくブラック企業だ、低水準だといわれ、フィンランドやフランス、アメリカなどといった国と比較されながら叩かれがちだ。そのため、海外向けに撮られた日本の学校ドキュメンタリーと聞くと新鮮に感じる。実際に観てみると非常に興味深い作品であった。
『小学校~それは小さな社会~』概要
学校を「小さな社会」と位置付ける日本の教育制度。掃除当番や給食配膳、委員会活動や行事など、児童らに学校運営の役割が与えられる。本作では東京郊外にある公立小学校の一年に密着。カメラは1年生と6年生の目線の高さから捉える。「集団」と「個」の間で揺れ動く「制限」と「自由」のバランス。教員の苦悩と子ども達の成長の先に見えてくるものは、転換期を迎えた日本社会の在り方。
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本作は世田谷区のとある小学校の1年に迫る。入学式。新しい生活にソワソワする1年生たちは親の手のもとを離れ校舎へ入る。それを6年生が「ぼくたちもあんなに小さかったんだ」としみじみしながら迎え入れ、困っている生徒に手を差し伸べたりする。
先生は朝6時台に出勤し、準備を整える。どのように生徒と距離感を詰めたらいいのかを考える。時代はコロナ禍。急速にITを取り入れ変化しなくてはならない。しかし、学校の先生とは人と人との関係が重要だ。日本の教育は集団の活動は得意とするが、行き過ぎては良くない。どのようにバランスを取れば良いのだろうか?生徒の前では魅せぬ葛藤をカメラは捉えていく。
本作を観て驚いたのは、小学生に求めるには厳し過ぎるのではと思うスリリングな指導が時折垣間見えるところだ。例えば、卒業式の演奏でとある女学生がティンパニ担当となる。しかし、練習であまり上手く演奏できず先生に叱られる。「だって楽譜がないんだもん」と涙目になる彼女に対して、「みんなは家でも練習しているから楽譜なしで演奏できる。あなたは家でやりましたか。泣いても無駄です。分からないところがあれば先生のところに訊きに来たはず。それもしないとはどういうことですか。」と厳しく指導するのだ。割と高校の部活や社会人が受けるような厳しいフィードバックを小学生に行うなんて酷だなと思いつつ、自分が小学生だった時もたまにこの手の指導があったなと感じる。小学校の独特な文化を再体験できる作品であった。
P.S.やっぱり学校教員ってブラックだなと思った。情報科の教員免許はあるが学校の先生はなりたくないなと感じてしまった。
※第36回東京国際映画祭サイトより画像引用