カラマーゾフの兄弟(1968)
原題:Братья Карамазовы
英題:THE BRATYA KARAMAZOVY
監督:イワン・プイリエフ
出演:ミハイル・ウリヤーノフ、マルク・プルードキン、リオネラ・プイリエワ、キリール・ラウロフ、ワレンチン・ニクーリン、スヴェトラーナ・コルコーシコetc
評価:60点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
超長尺映画特集配信をするにあたって、10年近く積んでいた『カラマーゾフの兄弟』を観た。言わずと知れたドストエフスキー代表作の映画化である。制作途中でイワン・プイリエフ監督が亡くなり、俳優が引き継いで完成させたことでも有名な作品でもある。『カラマーゾフの兄弟』は昔「まんがで読破」で一通りあらすじを把握しているのだが、あまりピンときていなかったりする。それだけに不安だったのだが、果たしてどうだったのだろうか。
『カラマーゾフの兄弟』あらすじ
五十を過ぎてもなお、肉欲にとりつかれているフョードル・カラマーゾフ。親譲りの性格により、予備大尉の身を放縦な毎日に埋没させている、長男ドミトリー(M・ウリヤノフ)、神を否定する大学出の秀才の次男イワン(K・ラヴロフ)、清純な魂と深い信仰を持つ三男アリョーシャ(A・ミヤフコフ)。カラマーゾフ家には、激しい葛藤があった。特に、ドミトリーが婚約者カテリーナがありながら、ある老商人の世話になっているグルーシェンカ(L・プィリエワ)に惹かれ、そのグルーシェンカが借金に苦しんでいるのを幸いに、父フョードルが自分のものにしようとしているので、二人の対立は大変だった。一方カラマーゾフ家の召使いのスメルジャコフは、昔フョードルが乞食女に産ませた子供で、彼は父を憎み、他の兄弟に嫉妬していた。彼は前からイワンに近づいていたが、しきりにイワンにモスクワ行きを勧めて、行かせた。ドミトリーは、グルーシェンカのために金の工面に奔放したが、都合はつかなかった。ついに彼は、スメルジャコフの手びきにより、父親を殺した。そして逮捕された。実は犯人はスメルジャコフだったのが、彼は自殺してしまい決定的な証言もないまま、裁判は進行した。アリョーシャの証言もグルーシェンカの愛情も役にはたたなかった。彼はシベリア送りと決定した。雪の広野を行く囚人の一行。その後を、行く一台のソリ。ドミトリーとの愛に生きる決心をしたグルーシェンカだった。
※映画.comより引用
3時間あるがRTA並みの疾走感!
超長尺映画の場合、複数のパートで分かれていると気持ちが楽になる。それでも『ラ・フロール』のように一部のパートが6時間あったり、『死霊魂』のように分割しても一つあたり3時間あると過酷なものとなる。それに比べると『カラマーゾフの兄弟』は1時間くらいのものが3本なので気が楽だったりする。しかしながら、原作特有の多過ぎる登場人物問題は解決するわけではない。しかも、3時間半近い尺はあれども、原作の文量に比べると時間が足りな過ぎる。その結果、ストーリー展開はRTAばりの爆速モードと化し、顔と名前が一致する前にスルリと抜けていってしまうのだ。また、本作は演劇調の大袈裟な演技で進行するので、映画を期待してみると結構辛い。それでも辛抱強く観ていると1.文学特有の名言炸裂2.特殊なアクションに興奮する。1に関しては「この世にブスは存在しない。どんな女性にも魅力があり、それを見つけるのが善き行為だ」「汚いものにも魅力がある」と下品に語りつつも、本質的なところを突く場面がある。2は終盤において、神の存在に関して自問自答する場面で、突然カメラが回転し始めるのだが、サイコパスアニメでありそうなカメラワークとなっていてツボだった。ロシア文学大作だと『戦争と平和』派ではあるが、つまらなかったかと訊かれたら、そうでもないといった作品であった。
※映画.comより画像引用