こんにちは赤ちゃん(1964)
監督:井田探
出演:吉永小百合、和泉雅子、山内賢、杉山俊夫、有田双美子、芦川いづみetc
評価:75点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
Amazon Prime Videoことアマプラでは珍しい日本映画がたくさん配信されている。漁っていたらあの名曲『こんにちは赤ちゃん』の映画版を見つけた。本楽曲の映画版は1964年に東宝と日活が映画化し、ほとんど同じタイミングで公開する競作スタイルとなっている。アマプラにあったのは日活版だったので、こちらの感想を書いていく。
『こんにちは赤ちゃん』あらすじ
24時間の休暇を許された貨物船の乗組員たちが、横浜のかもめホテルに宿泊。そのホテルの娘・とも子は、一等航海士・谷村の1才になる息子を連れてきた洋子という女性と出会い、ホテルへ案内する。そんな中、二人の若い船員がとも子の帰りを待っていて…。
あの名曲が映画化!?
クレイジーキャッツ映画もそうだが1950~60年代の日本映画は、ハリウッドミュージカル映画を真似た作品が多数作られた。『こんにちは赤ちゃん』は明らかに『踊る大紐育』をベースにしたものとなっている。たった24時間の上陸時間を有意義なものにしようとする男たちの珍事を骨格とし、そこに楽曲の要素を付与する。この応用が上手くいっている作品と観ることができる。冒頭のフライパンと綿棒を使った対決が連鎖していくダイナミックなアクションやセックス風景を盗聴しようとする際の曲芸サスペンスといった細かい運動レベルから、赤ちゃんを中心に添え、男から女の物語へとシフトする中で多様な生き方、女性の社会進出や労働問題への歩み寄りへの言及へと発展させていくストーリーテリングレベルまで本作の魅力は多岐に渡っている。
てっきり子育ての話なので、旧時代的な家族観に縛られた作品になっているのかと思いきや視野が広い作品となっていたので、今観てもクセなく楽しめる作品に仕上がっていたと言えよう。
※Amazon Prime Videoより画像引用