『曳き船』その発言はグロ過ぎないかい?

曳き船(1941)
REMORQUES

監督:ジャン・グレミヨン
出演:ジャン・ギャバン、ミシェル・モルガン、マドレーヌ・ルノー、シャルル・ブラヴェットetc

評価:70点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

シネフィル界隈で定期的に流れてくる『曳き船』がAmazon Prime Videoで配信されていたので観た。これがなかなかグロテスクな一本であった。

『曳き船』あらすじ

港町ブレスト。曳き船サイクロン号の船長アンドレは、難破した船を救助した際に知り合った謎めいた美女カトリーヌと恋に落ちる。二人は海辺の家で密会するようになるが、長年連れ添った妻イヴァンヌは心臓の持病を抱えていた…。

「波にもまれる曳き船の甲板、港町の光景、係留される船舶、舟と舟を結ぶ綱のたわみ、あるいは夢のようなとしかいえない白い砂浜の拡がり、等々、グレミヨンのキャメラが切り取ってみせる現実の断片は、世界の再現を越えた生々しさでスクリーンの無類の緊張感を行きわたらせる。」

アンスティチュフランセより引用

その発言はグロ過ぎないかい?

本作の見どころは、ミニチュアを使った嵐の場面である。噂通り、このスペクタクルは画面酔いするぐらい圧巻のものとなっていた。確かにこの場面に注目したくなるが、内容が想像以上にグロテスクだったことを言及したい。いわゆる「仕事が趣味」「仕事が生き甲斐」な男が妻を蔑ろにし、その関係性から生じるストレスを別の女にぶつけるタイプの作品である。現実でもこういうシチュエーションは少なくないと思うのだが、発狂していく妻に対するセリフがあまりにもグロテスクであり生々しい。彼女が「病気になってしまう」と必死に訴えかけているにもかかわらず、「病人はそんなに早口で話すわけがない」と突っぱねるのだ。流石にこれにはドン引きした。『孔雀夫人』もそうだが、仕事と家族をめぐる物語は精神的にくるものが多いなと思う最近である。

※IMDbより画像引用

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