The Cemetery of Cinema(2023)
監督：Thierno Souleymane Diallo
評価：80点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
CPH:DOX2023にて幻のアフリカ映画を追い求める映画があると聞きつけ、『The Cemetery of Cinema』を観た。自分も日本未公開映画ハンターとして謎の映画を掘っているだけに親近感湧いた作品であった。
『The Cemetery of Cinema』あらすじ
Does a film exist if no one has seen it? Guinean film director Thierno Souleymane Diallo goes on a barefoot road trip around his country to find the mythical 1953 film ‘Mouramani’ – the first Guinean film made by a local filmmaker. But it is not easy to find the film or anyone who has seen it for that matter. Some believe it is about the Islamisation of the Mandinka people. Others that it is about the relationship between a dog and its owner. Along the way, Diallo passes old, abandoned cinemas and dusty piles of moisture-damaged film reels. ‘The Cemetery of Cinema’ is a charming, cinematic adventure in which the journey is almost as important as the destination, and where the encounters along the way remind us of the importance of preserving a shared memory and culturel heritage.
訳：誰も見たことのない映画は存在するのだろうか？ギニアの映画監督ティエルノ・スレイマン・ディアロは、1953年の幻の映画「ムーラマニ」（地元の映画監督によるギニア初の映画）を探すため、裸足で国内を旅する。しかし、この映画や、この映画を見たことのある人を見つけるのは容易ではありません。ある人は、この映画がマンディンカ族のイスラム化を描いたものだと信じている。ある人はマンディンカ族のイスラム化について、またある人は犬とその飼い主の関係について描いているという。ディアロは道中、廃墟と化した古い映画館や、湿気で傷んだフィルムリールの埃まみれの山を通り過ぎる。映画の墓場」は、旅が目的地と同じくらい重要であり、途中の出会いが、共通の記憶と文化遺産を守ることの重要性を思い出させてくれる、魅力的な映画の冒険である。
幻のギニア映画を追い求めて
男はギニアへ降り立つ。文献上の作品ティエルノ・スレイマン・ディアロの『ムーラマニ』を探して。ギニアはフランスや日本とは違い、映画がアーカイブされていない、政治情勢により解体された映画会社は廃墟となっており、そこから何十年も時が経ったフィルム缶を発掘していくしかない。映画の有識者に聞いても、タイトルは知っていても実際に観たことがないという。取材者は、映画関連施設だけではなく、村や街中のDVDショップを歩き回り調査をする。しかし、なかなか情報にありつけない。そこでフランスへと目を移す。アフリカ映画史にとってフランスは重要な拠点である。フランスがアフリカに映画を伝え、アフリカ諸国が映画を作り始めた。しかし、技術面から現像をフランスで行っていた映画会社も少なくない。フランスは映画をアーカイブしているのできっとあるであろう。男は背中に看板をつけながら、フランスを彷徨い、原本を探していく。ついには、『ムーラマニ』について言及した人物にまであたるが、彼自身観たことがないと明らかになるのだ。映画考古学者は時として、文献を整理して入手できない映画について語ることがある。その状況を目の当たりにするのだ。本作は、入手難易度SSR、ひょっとするとこの世に存在しないかもしれない映画を追い求め続ける情熱に満ち溢れた作品だ。次々とアプローチを変えながら映画を追い求める姿勢に胸躍らされた。
※MUBIより画像引用
