『映画ネメシス 黄金螺旋の謎』ミステリーは事象と事象をつなげていくことだ!

映画ネメシス 黄金螺旋の謎(2023)

監督:入江悠
出演:広瀬すず、櫻井翔、勝地涼、中村蒼、富田望生、大島優子、上田竜也、奥平大兼、加藤諒、三島あよなetc

評価:50点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

先日、知り合いから『映画ネメシス 黄金螺旋の謎』の感想を聞きたいとリクエストがあった。わたしはドラマを全く観ないのだが、たまにドラマの映画版に触れると思わぬ発見がある。『劇場版コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命』では、ゴダールの『ウイークエンド』を彷彿とさせる横移動で事態の悪さを表現していた。さて、今回は意外なことにジャンル映画。つまり探偵ものに誠実な作りをしていたところが良かった。

『映画ネメシス 黄金螺旋の謎』あらすじ

横浜の探偵事務所ネメシスを舞台に、広瀬すず演じる探偵助手の美神アンナと、櫻井翔演じる天才探偵を自称する風真尚希、そして江口洋介演じる探偵歴30年の大ベテラン栗田がさまざまな依頼に挑む人気ドラマ「ネメシス」を、ドラマシリーズの総監督も務めた入江悠のメガホンで映画化。

探偵事務所ネメシスに、誘拐されたペットの犬を奪い返してほしいとの依頼が飛び込んでくる。かつてない超高額な報酬を前に、早速調査を開始したアンナと風真だったが、「窓」と名乗る正体不明の男が現れてから、大切な仲間たちが次々と生命の危機にさらされていく。

神奈川県警捜査一課の勝地涼、中村蒼、富田望生、メネシスをサポートするチームネメシスメンバーの大島優子、上田竜也、奥平大兼、加藤諒、南野陽子、真木よう子など、ドラマ版のキャストに加え、映画版キャストとして佐藤浩市が正体不明の男「窓」を演じる。脚本を「アンフェア」シリーズの原作者である秦建日子が担当。

映画.comより引用

ミステリーは事象と事象をつなげていくことだ!

美神アンナは悪夢の中で、次々と仲間が死亡していく様子を目の当たりにする。毒殺、転倒、射殺に圧死。不可解な連鎖的死は現実をも侵食していく。黒幕かと思われた男も現実世界で何者かに撲殺されてしまう。映画は、夢の中で起こる突発的な死と現実で起こる死の共通点と差異を洗い出しながら、真相へと向かっていく。これは探偵ものの本質である。探偵は、起こったことを分析していく。類似の事件と照らし合わせたり、聞き込みを行う。時として仲間と連携を組み真実を掴み取る。この点と点とを結ぶ過程を黄金比がもたらす螺旋構図と絡めてくるあたりに誠実さを感じ、学芸会的なノリはあれどもそのクセは中和されていった。

一方で、最新技術に対する解像度はすこぶる低く、仮想通貨は単語レベルのものでしか機能しておらず、ヴァーチャルリアリティは仮想的に生み出されたものを現実として認識させるギミックとして使われてはいるものの、ただ背景を変化させているに過ぎない手数の少なさが目立った。なので、結果的にこの手の方面に関心がある私にとってモヤモヤが残る結果となってしまった。

※映画.comより画像引用