シング・フォー・ミー、ライル(2022)
Lyle, Lyle, Crocodile
監督:ジョシュ・ゴードン、ウィル・スペック
出演:ハビエル・バルデム、コンスタンス・ウー、ウィンズロウ・フェグリーetc
評価:65点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
ジョージア旅行の飛行機でワニ映画『シング・フォー・ミー、ライル』を観た。日本だとワニ役が大泉洋なのだが、原語ではショーン・メンデスが演じている。実際に観てみると、ゆるいながらもミュージカル映画の特性を最大限活かした作品であった。
『シング・フォー・ミー、ライル』あらすじ
アメリカの児童文学作家バーナード・ウェーバーの名作絵本「ワニのライル」シリーズを実写映画化したミュージカル。
ニューヨークの古びたペットショップを訪れたショーマンのヘクターは、奇跡のような歌声を持つ小さなワニのライルと出会う。ヘクターはライルを相棒にしようとするが、ライルのステージ恐怖症が判明すると、ヘクターはライルを残して去ってしまう。それから長い月日が経ったある日、ライルが隠れ住む家に少年と家族が引っ越してくる。傷つき歌うことをやめていたライルは少年との出会いをきっかけに再び歌い出し、歌を通して少年と心を通わせていく。
「ノーカントリー」のオスカー俳優ハビエル・バルデムがヘクターを演じ、世界的歌手ショーン・メンデスがワニのライルの声を担当。「俺たちフィギュアスケーター」のウィル・スペック&ジョシュ・ゴードンが監督を務め、劇中曲の作詞作曲を「グレイテスト・ショーマン」のベンジ・パセック&ジャスティン・ポールが音楽を手がけた。
ミュージカル映画あるあるを最大限に活用した設定
ミュージカル映画では感情が高まると歌い出す。この特性をワニのライルに当てはめ、弱々しく社会に溶け込もうとする彼が一度歌い始めるとショーン・メンデスのイケボに早変わり。陽キャラとして陽気にご飯を作り始める。このギャップの面白さが映画のアクセントになっている。内容はかなりゆるい。ハビエル・バルデム演じるエンターテイナーから逃げてきたライルが家族に引き取られるが、そこに彼がやってくる。一見すると、バチバチにライルを取り合うのかと思う。ましてや、相手はハビエル・バルデムだ。しかし、そうはならない。エンターテイナーと仲良く生活し始めるのだ。白昼堂々、街を闊歩しオシャカフェでサンデーを嗜むのだ。その時点で、動物保護局に連行されそうだが、終盤までライルは捕まらない。そのため、ストーリー進行としてはあまりにも起承転結が希薄な問題を抱えている。だが、一方でミュージカル映画が安易に引用するバークレーショットを禁じ、舞台的な横の運動で躍動感を表現することに徹するジャンル映画への誠実さを感じる。そのため、嫌いにはなれない。むしろ積極的に評価していきたい作品であった。
※映画.comより引用