キャット・ピープル(1942)
CAT PEOPLE
監督:ジャック・ターナー
出演:シモーヌ・シモン、ケント・スミス、トム・コンウェイ、ジェーン・ランドルフ、ジャック・ホルトetc
評価:95点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
「死ぬまでに観たい映画1001本」掲載のフィルム・ノワール『キャット・ピープル』を観た。本作はポール・シュレイダーがリメイクしたり、フィルムノワールの定番として知られているのだが、この手の映画が苦手ということもありずっと避けていた。何よりもジャック・ターナーは『過去を逃れて』が退屈だった記憶もあり嫌な予感しかしなかった。しかし、実際に観てみるとめちゃくちゃ面白かった。
『キャット・ピープル』あらすじ
技師のオリヴァー(ケント・スミス)は、セントラル・パークで黒豹の写生をしていたイレーナ(シモーヌ・シモン)と知りあい、やがて結婚するが、猫族の末裔というイレーナは、自分が興奮すると黒豹に変化するのではないかと苦悩し、オリヴァーにすすめられ精神分析医ジャッド(トム・コンウェイ)の診療をうけるが、恐怖は消えず、彼女の心理状態は悪化する。
サプライズプレゼントにネコ贈るヤバ男
動物園で絵を描いている女。彼女は紙をくしゃっと丸めてゴミ箱に投げる。しかし、それは男の足元へと落ちる。彼はそれをゴミ箱に捨て、彼女へ歩み寄る。彼女のゴミ投下を阻止するのだ。しかし、重要な落書きは地面に放置されてしまう。紙を回収しきれない詰めの甘さが、この映画の鍵を握っている。明らかにメンヘラで、様子のおかしい女だが、男は彼女のことが夢中となり結婚しようとする。この男、一見するとまともな紳士に見えるが行動がかなりイカれている。サプライズに4°cのネックレスや指輪をプレゼントしようとして炎上する様子がTwitterで散見されるが、本作の場合、いきなり猫をプレゼントする。相手が猫嫌いかもしれないし、猫アレルギーかもしれないのに猫を贈るのだ。当然ながら、猫と女の相性は最悪。こともあろうことか、カナリアに交換する事態に発生するのである。
ここから怒涛の修羅場劇に発展する。この女は、自分の故郷の伝説に囚われてドンドン精神が病んでいく。彼女に寄り添おうとする、彼に対して「ずっとあなたのことが好きだったの」と言い張る女が出現し、三角関係にもつれ込む。そして、誰かにつけられている、何もないのに何かいる不気味な空間が画を支配し始めるのである。メンヘラ女は、突然メタギアさながらのステルスアクションを仕掛けながらターゲットを血祭りにあげていく。冒頭で明らかのように、完全に彼女に打ち勝つことはできない。これをサクッと70分で収める。この鮮やかさに感動した。
おまけに、猫耳もつけていないのにキャットウーマンとしか言いようのない女の登場、それによって空間が凍りつく場面まである最高の作品であった。
※MUBIより画像引用