『Trafic(Cătălin Mitulescu版)』:渋滞時の行き場のない眼差しの行方

Trafic(2004)

監督:Cătălin Mitulescu
出演:Bogdan Dumitrache,Maria Dinulescu,Ana Bart etc

評価:75点


おはようございます、チェ・ブンブンです。

先日、イギリスの大学で映画の勉強をされているSailさん(@Sailcinephile)と対談配信をした。その際に彼がルーマニアの短編映画『Trafic』を紹介していた。カンヌ国際映画祭の短編パルムドールを受賞した作品ということで早速観てみた。短編ならではのワンシチュエーションにおけるショットの強さを感じた作品であった。

『Trafic』あらすじ

Stuck in heavy traffic, a Romanian businessman heading for an important meeting kills time in the most mundane and improvised ways, from facing personal responsibilities to making random acquaintances.
訳:交通渋滞に巻き込まれ、重要な会議に向かうルーマニアのビジネスマンは、個人的な責任と向き合ったり、ランダムに知り合いを作ったりと、最も平凡で即興的な方法で時間をつぶしている。

※IMDbより引用

渋滞時の行き場のない眼差しの行方

とあるカリカリしたサラリーマンの日常が映し出される。仕事の合間に娘に軽く会い、車内では電話しながらのながら運転をする。そんな中、彼は渋滞に巻き込まれてしまう。この渋滞は絶妙な嫌らしさを持っており、数十m規模のものとなっている。しかし、渋滞の先頭付近が見えないので原因が分からない。焦る男。彼の眼差しの先には前の車両が映るが、曇っていて運転席は見えない。近くでダラダラと飲み物を売り捌いている女が少し気になる。ここで待つか待たないか。彼は力づくで、傍に車を止め、タクシーで移動を試みようとするも上手く行かない。負の連鎖が続いている時、何もかもが上手く行かないものだ。そういう時は自分の直感に従って行動すると好転することがある。身動き取れない男は、飲み物売りの女とお茶をすることを決めるのだ。

本作は人は焦っている時にどこへ眼差しを向けるのかに特化している。車窓から、渋滞の原因となるものを探そうとする眼差し。気になる人がいたらそれを追ってしまう眼差し。こういったものを畳み掛ける。14分程度の作品ながらもリアルな眼差しを目の当たりにした作品であった。