『アメリカ合衆国ハーラン郡』炭鉱労働組合の長い闘い

アメリカ合衆国ハーラン郡(1976)
Harlan County, USA

監督:バーバラ・コップル

評価:70点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

国立映画アーカイブにて特集「アカデミー・フィルム・アーカイブ 映画コレクション」が開催されている。本特集のラインナップがかなり良いので行ってきた。1/8(日)は労働組合に関する作品2本が観られるとのこと。この記事では『アメリカ合衆国ハーラン郡』について書いていく。

『アメリカ合衆国ハーラン郡』あらすじ

ケンタッキー州ハーラン郡の鉱山で賃金や労働環境の向上を求めストライキが起こるも、雇用主側は銃を持った男たちなどを送り込んで妨害。撮影隊は闘争の真っただ中で、抵抗する人々の姿を撮影し続けた。また、歌手のヘイゼル・ディケンズや労働者たちの歌が、人々の生と抵抗の精神を力強く表現。監督のコップルは本作とAmerican Dream(1990)で2度オスカーを手にしている。

※国立映画アーカイブサイトより引用

炭鉱労働組合の長い闘い

ベルトコンベアに腹ばいとなった状態で炭鉱へと突き進む。暗闇で激しいドリルの音を響かせながら素材を抽出する。泥まみれになりながら食事を取り、20時間の勤務の末、脱出する。これを何年もやっていると、全身ボロボロ、肺もボロボロになっている。そんなハーラン郡で賃金向上、労働環境向上を掲げ、ストライキが行われる。何ヶ月にも及ぶ、封鎖ストライキ。企業側は、激しくスト破りを試みる。銃を持った刺客を送り込むのだ。そんな危険な状況で保安官は……役に立たない。一応、買収してスト破りを行おうとする男を撃退しようとするが、あまり効果がない。保安官も人間である。自分に有利かどうかでしか動かない。相手は強い。だから、金をもらっても面倒臭そうに対応するのだ。こうした生々しい攻防は、『ノーマ・レイ』でブラッシュアップされてしまった実際の原石を映しているようだ。『ノーマ・レイ』の場合、映画的スペクタクルでご都合主義的着地をするが、本作ではひたすら事態が拗れている。改善するにしても完全に労働者が有利になるわけではなく、犠牲になる部分もある。映画の終わりに、初老の労働者が苦い顔をする。

「結局、給料は上がらない。引退?月150ドルでどうやって暮らせと?だから今日も働くしかないのさ。」

何も言わなかったら、行動しなかったら搾取されるだけだ。でも行動しても微々たる向上しか見込めない。この厳しさがヒシヒシと伝わる作品であった。

※IMDbより画像引用

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