【ナイジェリア映画研究】『北へ』ぼんぼん、体育の先生になるの巻

北へ(2018)
UP NORTH

監督:トゥーペ・オシン
出演:バンキー・ウェリントン、ラハマ・サダウ、カナヨ・O・カナヨ、イブラヒム・スレイマン、ミシェル・デデetc

評価:80点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

Netflixのナイジェリア映画フルマラソン。終盤戦ということで追い込みとして『北へ』を観た。主演は『ウェディング・パーティー』2部作のバンキー・ウェリントンだ。バンキー・ウェリントンはアメリカ生まれナイジェリア育ちのR&BアーティストでレコードレーベルE.M.E.を立ち上げた人物。なのでミュージシャンが主演の映画ということになる。果たして。

『北へ』あらすじ

父親の財産を相続するため、1年間の奉仕活動に従事させられることになった道楽息子。だが、見知らぬ土地での生活を通して、彼は新たな目標を見出していく。

※Netflixより引用

ぼんぼん、体育の先生になるの巻

Bassey Otuekong(バンキー・ウェリントン)は父の逆鱗に触れ、カードを取り上げられキャンプに送られる。通常であれば、過酷なキャンプの中で友情が育まれる物語が展開されそうだが、本作は異常なテンポでキャンプパートが終わってしまう。あっさり仲間を作り、一緒に夜な夜な脱走する関係にまで発展するのだ。このキャンプがまたゆるくて面白い。なぜならばBasseyはキャンプ内でスマホを使って自撮りをしているのだ。自分のキャンプ生活をSNSで発信しているところが意外である。

さてキャンプ仲間の一人Sadiq(イブラヒム・スレイマン)と親密な関係になった彼は一緒に学校の先生になろうと女子校に潜入する。最初は数学の先生になろうとするが断られる。トボトボと学校を出ようとするのだが、体育の先生が大きな石につまづいて救急車送りとなってしまう。そして、二人は晴れて体育の先生になり、女子リレー大会優勝を目指すようになる。女子リレーをやりたい生徒の中に、親から「女性が走るなんてみっともない」と言葉の呪いをかけられている者がいる。そのような風習的問題を汲み取りつつ、荒唐無稽な成長物語を紡いでいく。

ノリウッド特有の富裕層目線の話なので、何か不祥事があったら金で解決される。ご都合主義としてあまりないタイプの解決法が興味深い。また、父との軋轢も常にビジネスの土壌に立っており、父親は息子のことを認めないものの、ビジネス相手として支援する展開は新鮮であった。

本作はNetflixナイジェリア映画の中でも上位に入る観やすく面白い作品といえよう。

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