『おひとりさま族』新人教育…だるいなぁ、群れるの…だるいなぁ

おひとりさま族(2021)
原題:혼자 사는 사람들
英題:Aloners

監督:ホン・ソンウン
出演:コン・スンヨン、チョン・ダウン、ソ・ヒョヌ、キム・ヘナetc

評価:60点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

OAFF2022にて上映された韓国映画『おひとりさま族』を観た。韓国では一人メシすると冷たい目で見られると聞いたことがある。一方で、生涯独身者も増えているという話も聞く。日本も少子高齢化で、結婚を望まない、一人を臨む人が増えているだけに非常に興味深い話題である。実際に観てみると思ったのと違う作品であった。

『おひとりさま族』あらすじ

カード会社のコールセンターに勤めるジナ(コン・スンヨン)は、どんなクレームにも沈着冷静に対応できる優秀な職員だが、公私ともに孤高の生き方を貫いている。同僚との会話はなく、昼食も一人、帰宅しても一人。外出時はスマートフォンでひたすら動画を見続け、外界を遮断し、己の領域を守ることを怠らない。母の死後、唯一の肉親となった父親とも疎遠だ。ところが研修生スジン(チョン・ダウン)の教育係を任された彼女は、指導どころか対話もおぼつかない。さらに、アパートの隣人が人知れず孤独死していたことが分かり、ジナの生活は揺らぎ始める…。

一人で外食しているだけで周囲に不審の目を向けられるほど、孤独を許容しない韓国社会。しかし、近年はあえて孤独を貫く若者世代も増えつつあり、本作はそんな人々の生態を真摯に見つめた一作である。ただ「おひとりさま=変わり者」と断じるのではなく、その内面に思いを馳せよ、という理解への第一歩を促すと同時に、孤独の快適さに付随する苦い代償もまた描かれる。これまでTVドラマを中心に活動してきた主演のコン・スンヨン(妹はTWICEのジョンヨン)、そして本作で長編監督デビューを飾ったホン・ソンウンは、ともに全州国際映画祭ほか国内外の映画賞を多数獲得。

OAFF2022より引用

新人教育…だるいなぁ、群れるの…だるいなぁ

コールセンターで怠そうに働き、家に着くとコンビニ弁当食べながらドラマを見る女性。別にSNSで繋がる訳でもなくひたすら一人を臨む女性。彼女はある日、新人教育を任される。やる気のない彼女は、新人を適当に教育しようとする。しかし、彼女は変に気をつかってランチに着いてきてしまう。一人が好きと言っても、着いてくる彼女。扱いに困る。ラーメン屋で、露骨に個人席に座り一緒に食べようとしない嫌がらせをするも子犬のように着いてくる。

そんな彼女の家の隣には男が住んでいる。彼はいつも黄昏ながらタバコをふかしている。その空間はJホラーさながらの暗さがある。周囲の風景が見えないほど、灰色に広がる空間。灰色の空間に向かって落ちていきそうな様子に不気味さを感じる。

彼女は男の姿を薄ら自分に重ねる。群れなきゃいけないのか?でも群れるのは面倒臭いという葛藤を言葉にならない部分で表象しているところが痛々しくて興味深い。確かに、日本にも結婚至上主義のもとの息苦しさはある。特に20代後半にもなるとそれは強くなってくる。割と一人好きな私には彼女の生き様は刺さりました。

※OAFF2022より画像引用