ことりのロビン(2021)
Robin Robin

監督:ダン・オジャリ、マイキー・プリーズ
出演:ブロンテ・カーマイケル、リチャード・E・グラント、ジリアン・アンダーソン、アディール・アクタル、アミラ・メイシー＝マイケルetc

0.1 評価:75点

1 『ことりのロビン』あらすじ
2 アードマンの囀りミュージカル
3 第94回アカデミー賞関連記事

評価:75点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

第94回アカデミー賞短編アニメーション賞にアードマン・アニメーションズ新作『ことりのロビン』が選出された。アードマン・アニメーションズといえば90年代に『快適な生活〜ぼくらはみんないきている〜』、『ペンギンに気をつけろ!』、『ウォレスとグルミット危機一髪! 』が同部門を受賞し、アードマンブランドを確立させたアニメ会社であり、近年は『ひつじのショーン』で有名となっている。セリフを極限まで落とし、ストップモーションアニメーションの身体表象で勝負している。今回、同部門ノミネートの『BESTIA』が陶器を使ったストップモーションアニメーションで勝負しているのに対し、こちらはフェルトで世界観を作り上げた。現在Netflixで配信中なので観てみました。

『ことりのロビン』あらすじ

ネズミの家族に育てられた1羽の小鳥が、クリスマスツリーに飾る魔法の星にかけた願い事とは…? 本当の自分を知るための大冒険が、いま幕を開ける。

※Netflixより引用

アードマンの囀りミュージカル

ネズミの家に卵が転がり込み、赤子が生まれる。鳥の赤ちゃんだ。子どもたちにせがまれ育てることになり数年が経つ。ネズミの耳をはやし環境に溶け込もうとすることりのロビンは、今日も家族と作戦開始。人間の家に忍び込み、食糧を調達するのだ。しかし、ロビンは欲を出し、遠くのサンドウィッチをゲットしようと歩み寄り、そのせいで作戦は失敗に終わる。家のイラストにバツがつけられる。カメラが引くと、多くの家がバツとなっている。ほとんどの家がもはやブラックリストに入ってしまい食料調達ができなくなってしまっている。このシークエンスでロビンがトラブルメーカーであることが表現される。罪意識を抱いたロビンは、最後の家に一人で忍び込むことにするが、猫に襲われてしまう。はぐれものの鳥と出会い、願いが叶うと思われるクリスマスの星をゲットしようとするがここでもアクシデントが多発してしまう。

可愛らしいネズミ耳のロビンに癒され、またフェルトの温もりあるテイストに魅了された。そしてアードマンが得意とするピタゴラスイッチ演出の切れ味が強く、イルミネーション社以上に殺意が現れる追い込み方をする。特に猫に追われる場面では、よちよち逃げ惑うロビンをゴール手前で落下させ、穴に詰め込み処刑に近い環境を生み出しておりこれが面白かった。アニメならではのモノの配置を活かしている。

一方で、既にノンバーバルコミュニケーションの極地を見出しているアードマン故、セリフの必要性を感じない。セリフは全て囁き声で展開され、ミュージカルも感情の高まりなく抑えて描写される。これはこれで斬新なのだが、セリフがなくてもストーリーが追える作品であり、ストップモーションアニメは身体表象で喜怒哀楽を伝えるのが得意なジャンルだと思っていることもあり、もったいないなと感じた。

ただ、気楽に観られる子ども向けアニメーションであることには変わりない。NHKで放送されそうな内容ですしね。ということで私は『BESTIA』にアカデミー賞短編アニメーション賞を獲ってほしい。