【 #死ぬまでに観たい映画1001本 】『結婚五年目』お客様、列車内で猟銃乱射しないでください!

結婚五年目※別邦題:パーム・ビーチ・ストーリー(1942)
THE PALM BEACH STORY

監督:プレストン・スタージェス
出演:ジョエル・マクリー、クローデット・コルベール、ルディ・ヴァリー、メアリー・アスター、シグ・アルノ、ロバート・ダドリー、ウィリアム・デマレスト、ジャック・ノートン、フランクリン・パングボーン、ジミー・コンリンetc

評価:90点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

「死ぬまでに観たい映画1001本」掲載の『結婚五年目』をAmazon Prime Videoで観ました。本作はFilmarksだと別名『パーム・ビーチ・ストーリー』で登録されている作品。タイトルからはあまり面白くない作品だと感じるのですが、観るとこれがびっくり抱腹絶倒の大傑作でした。

『結婚五年目』あらすじ

ジェリーは発明家のトム・ジェファーズと結婚して5年になる。もちろん夫婦は飽きも飽かれるかもしない仲であるが、トムの発明が一向に金を作らないのが悩みの種だ。トムのすばらしい発明『空中エア・ボート』も出資する資本家が見つからないので、宝の持ち腐れである。5年目の結婚記念日、さてお祝いどころか家賃を払うにも、ジェファーズの財布には10セントもない。そこでジェリーはトムを助けるためには彼女が彼の妻であるよりも妹であった方が好都合なりと考え、フロリダへ行ってとりあえず離婚しようと決心する。彼女はビタ一文も持たずに、パーム・ビーチ行特急に乗込む。目ざとい彼女は最後部の客車がタダゴトでないのを見抜いて、行ってみると果せるかなそれは貸切車である。お客は陽気なお年寄りばかり、聞くとエイル・アンド・クェイル・クラブ総動員で、フロリダへ年例大会をしに出かけるところであった。うるさい山の神は御免だが、美しい年増女の笑顔なら、枯木に花の風情じゃと、ジェリーはクラブのマスコットに採用される。有難いといったんは喜んだが、年寄達のハメのはずし方が度をすぎている上にシツッコいので彼女もへきえきして席をはずす。隣の寝台車に乗り移ると上段の寝台が一つ空いている。無断ですべり込んでひとねむりし、ふとしたはずみで下段の客の顔をふみつける。その顔の持主はJ・D・ハッケンサッカー3世となん言う世界一の金持独身者であった。氏はこの椿事をはなはだ喜び、ジェリーに親切をつくす。例の老年クラブの車は、余りに騒々しすぎるというので、ある駅で切り離されてしまい、そこに彼女のトランクもあったのである。そこでジャクスンヴィルに停車中、ハッケンサッカー氏はジェリーを伴って、彼女に衣類を5万6千ドルばかり買って進呈する。その間に列車は出てしまったので、氏は自家用ヨットに彼女を招待して海路のどかにパーム・ビーチに向う。波止場に着くとトム・ジェファーズが容易ならぬ面付で待っている。気まぐれな金持ち爺さんが発明家に寄付金をくれたので、トムは飛行機で先着していた次第。ジェリーは機転をきかせて、ハッケン氏に『これは兄です』と紹介したので、トムは怒るに怒れない。するとハッケン氏の姉で、結婚離婚数レコード保持者の公爵夫人センティミラが大喜びでトムと結婚したがる。それはまだ我慢するが、ハッケン氏が彼の『妹』にじゃれつくのがたまらない。一騒動もち上がるところにトムの双生兄とジェリーの双生妹が現われ、一切円満に片付いたというお話。

※映画.comより引用

お客様、列車内で猟銃乱射しないでください!

冒頭のタイトルシーンだけでも観てほしい。Tik Tokで作られる超高速映画さながら怒涛の結婚式修羅場が展開される。新婦が会場にいないので迎えに行く新郎。一方その頃、新婦は部屋でドタバタを繰り広げていた。おばちゃんが部屋に彼女がいるのを目撃し、スッテンコロリン。何故か、隣の部屋には謎の女が閉じ込められており、勢いよく扉を蹴って足を出す。気絶から復活したおばちゃんはまたもやその足を見て気絶する。死体のように廊下に投げ出されたおばちゃんを映し、なんやかんやで結婚式に新郎新婦が間に合う。めでたしめでたしと、カメラは引きながら、背後から映り込む文字オブジェクトを捉える。「本当にめでたしなのか?」という疑問文と共に本編が始まる。

時は五年後。夫トム・ジェファーズ(ジョエル・マクリー)が金を稼がない為、家賃滞納に苦しめられている。そんな中、アパート見物に耳の遠い老人が現れ、こともあろうことかトムの家に侵入する。バスルームにジェリー(クローデット・コルベール)を目撃すると、何故か興奮し始め大金を支払い家賃滞納は解消する。その件を夫に話す。だが、言葉を並べてみると改めて異常な出来事だ。彼は機嫌が悪くなる。だったら離婚しましょとなる。そこから、トムとジェリーがごとく滑稽な追いかけっこが始まる。

布団を身に付けたまま、エレベーターで口論するも、一般人に笑われるもんだから急いで部屋に戻り始めるトム。丸い窓から首を出すと、ごつんと頭をぶつけたりする。このコミカルなアクションがたまらない。

そしてドンドン映画は過激になっていき、ジェリーが列車に乗り込めば混沌とした世界が広がっているのだ。ジェリーは、目ん玉を潰す勢いでメガネ男を踏んづけ、メガネを粉砕しながら上段ベッドへよじ登る。食堂車では、酔っぱらったおっさんたちが、店員が投げるクラッカーでクレー射撃を始め大乱闘スマッシュブラザーズとなる。深夜3時のテンションで書き殴ったような予想もつかない物語が、ちゃんと円環構造を形成し収斂していく様子に感動しました。

「死ぬまでに観たい映画1001本」フルマラソンをしているとこうした掘り出し物があるから楽しいものである。

アマプラにあるので是非!

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※MUBIより引用

 

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