【 #死ぬまでに観たい映画1001本 】『デイヴィッド・ホルツマンの日記』元祖youtuberのイキり日記

デイヴィッド・ホルツマンの日記(1967)
David Holzman’s Diary

監督:ジム・マクブライド
出演:L・M・キット・カーソン、アイリーン・ディーツetc

評価:70点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

「死ぬまでに観たい映画1001本」掲載の謎映画、結局本誌読んでもなんで重要なのかが分からないことが多いのですが、最近発売された遠山純生の「〈アメリカ映画史〉再構築 社会派ドキュメンタリーからブロックバスターまで」には『クール・ワールド』や『ワンダ』、『ブレージングサドル』といった作品の解説が載っておりフルマラソンの副読本として役に立っている。さて、今回は元祖フェイク・ドキュメンタリー、元祖youtuber映画として囁かれている『デイヴィッド・ホルツマンの日記』を観てみました。

『デイヴィッド・ホルツマンの日記』あらすじ

A young filmmaker decides to make a movie of his life.
訳:若い映画監督が、自分の人生を映画にすることを決意する。

IMDbより引用

元祖youtuberのイキり日記

映画監督を志す青年が、ゴダールやヒッチコックのスチル写真とフィルムに囲まれた部屋でカッコつけながら映画について語る。ゴダールの『小さな兵隊』の言葉「映画とは何か?映画とは一秒間に二四コマの真実だ。」と引用し、冷え切った恋人ペニーとの仲や身近の様子を捉えていこうとする。車に乗り、何気なく捉えられる街並みや何気ない生活の肖像画が妙にカッコいい。またyoutuberはよく部屋の中でずっと喋っていたりするが、この映画青年デイヴィッド・ホルツマンは寝室を右往左往動き、ペニーのポスターを魅せたりしながら自分語りをしたりするダイナミックさがある。この時点で、デイヴィッド・ホルツマンがいかにシネフィルかがよく分かる。そして、その自分語りやイキリ顔の気持ち悪さがゾワゾワする。youtubeでカップルがいちゃついている動画と近いゾクゾクする魅力がこの映画にはあります。

本作は1967年の映画にしては今のyoutube動画を完全に再現している点で衝撃的だ。魚眼カメラで街を撮る様子は、ストリート系youtuberがGoProで自分の世界を捉えようとしているのにも近い。また、独りよがりであり退屈なのだが妙な癖があるのもyoutubeの日記動画に通じるものがある。さらには撮影中に喧嘩する場面があるのだが、これはニコ生中に親が乱入してきたりして炎上する動画を彷彿とさせる。

そのような点で、youtubeやニコ生、TikTokなどで日記動画を撮っている人に超絶オススメしたい。正直、部屋や寝室の空間を活かせていない動画が多すぎる。固定カメラで部屋を映すにしてもこんな魅せ方があることを知れる点、この映画が「死ぬまでに観たい映画1001本」に掲載されているのは納得である。

死ぬまでに観たい映画1001本関連記事

【 #死ぬまでに観たい映画1001本 】『見知らぬ乗客』ヒッチコックはスポ根映画の手本を魅せる
【 #死ぬまでに観たい映画1001本 】『日本人の勲章』コマコを探して空手チョップ
【 #死ぬまでに観たい映画1001本 】『エル・ノルテ』移民から見たアメリカン・ドリーム
【 #死ぬまでに観たい映画1001本 】『オープン・ユア・アイズ』25歳が生み出す悪夢※ネタバレ
【 #死ぬまでに観たい映画1001本 】『かぼちゃ大当たり』デヴィッド・リンチのお気に入り

created by Rinker
ネコ・パブリッシング