【中央アジア今昔映画祭】『ジャミリャー』キルギス、思い出はモノクローム

ジャミリャー(1969)
Dzhamillya

監督:イリーナ・ポプラフスカヤ
出演:ナターリヤ・アリンバサロワ、スイメンクル・チョクモロフ、ボロト・ベイシェナリエフetc

評価:60点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

中央アジア今昔映画祭ではトルクメニスタンやタジキスタンといった珍しい国の映画が観られる。今回はソ連時代のキルギス映画『ジャミリャー』を観賞しました。

『ジャミリャー』あらすじ

出征した夫を待つジャミリャーは、夫の弟である少年セイトたちと暮らしている。彼女のことが大好きなセイトは、男達が近づくと割って入り邪魔をする。彼女は悲しみと孤独に苦悩しつつも明るく振舞っていたが、村に負傷兵ダニヤルが現れ、心が揺れはじめる。やがて二人の魂は結びついていき…。

※中央アジア今昔映画祭より引用

キルギス、思い出はモノクローム

男が絵を地面に落とす。色彩帯びた美しい絵であるが、そこに描かれているのは戦車だったりする。戦禍の悲痛がそこに封じ込められているようだ。彼は回想する。幼少期の彼。彼は年上の女ジャミリャーに恋をしていた。出征した夫を待つ彼女だったが、チンピラに絡まれたりする。彼はチンピラを追い払おうとするが力で負けてしまう。そこへ負傷兵ダニヤルが現れて複雑な恋の関係性が生まれる。

キルギスの情報に疎いため、全体的に分かりづらい作品ではある。しかしながら、ソ連時代の映画ということもあってだろうかセルゲイ・エイゼンシュタインのプロパガンダ映画を彷彿とさせる力強いショットがあり、例えば重い資材を持って坂を登る場面を執拗なクローズアップで様々な角度から撮る場面に力強さを感じる。また、竜巻が馬車に激突する珍しい画も撮れていたりするので新鮮だ。

思い出はモノクローム、色をつけてくれとよく言うけれども、色彩を得た思い出は辛さを緩和し風化させたものになってしまうかもしれない。本作は回想シーンを白黒にし、絵の強烈な色彩を挿入することで、少年の辛酸を煮詰めた作品と言えよう。

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※中央アジア今昔映画祭より画像引用