5windows eb(is)(2015)
監督:瀬田なつき
出演:中村ゆりか、染谷将太
評価:90点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
Mini-Theater AIDのリターンであるサンクスシアターで瀬田なつき監督の『5windows eb(is)』を観ました。本作は『5windows』シリーズの恵比寿バージョンである。
『5windows eb(is)』あらすじ
『5windows』から4年後、恵比寿映像祭において制作した『5windows』の恵比寿編。恵比寿ガーデンプレイスのセンター広場などでインスタレーションとして展示された「5windows eb」「5windows is」の二つの作品を再編集したもの。東京、恵比寿で、中村ゆりかと染谷将太とともに、また別の物語を描く。
※サンクスシアターより引用
リベラシオンを読みながらポッキーをパクパクする女
映画とは時間の芸術である。編集の妙によって時空を簡単に歪めることができるにもかかわらず多くの映画でテロップによる時間表現をしてしまう。瀬田なつき監督は、お得意の感情が抑えきれず、肉体がフラフラと動いてしまう女の子像を軸に時空を歪める。その楽しさに感動を覚える。
「これが映画だ!」と。
中村ゆりか、染谷将太の目線の交差を通じて、同じ時間軸にいるようでいない不思議な空間が生まれる。恵比寿のカフェテリアで新聞を読む染谷将太。コーヒー嫌いだし、フランス語は読めないのに、リベラシオンを読みながらコーヒーを嗜む。そんな気取った彼を中村ゆりかは別の席から見つめ、彼女もリベラシオンを読みながら、彼女の場合、ピンクのポッキーをパクパク食べる。この愛らしさに鼻血が出そうになります。しかし、カットのつなぎをよく見ると、ストーカーをしているように見えて別の時間軸にいるような雰囲気を醸し出していたりする。
瀬田なつき監督、天才か!と思います。
また、本作ではビルの屋上と歩道橋を通じて光を使ったコミュニケーションをする場面がある。光が視界に入るまでのタイムラグ、それは極小でありながら、距離が離れているため、同時でありながら時間に差があるように感じる。本作における時空の歪みを象徴しているような場面であり、これまた感動的だ。
正直、彼女の話は常に日本に向いている至極ローカルなものであるが、彼女の技術力こそカンヌに伝わってほしい。山中瑶子でも山戸結希でもいいので、三大映画祭のコンペティションに進出し、一刻も早く河瀨直美から日本代表の女性監督の座を奪い取ってほしいと思う。瀬田なつき監督は、日本最強の女性監督の一人である。
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