『Jah Intervention』ギニアの俳優ウェルケット・ブンゲからの挑戦状

Jah Intervention(2019)

監督:Daniel Santos
出演:ウェルケット・ブンゲ

評価:75点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

昨日、Instagramで『ベルリン・アレクサンダープラッツ』評をアップしたら、なんと主演のウェルケット・ブンゲからフォローされました。ウェルケット・ブンゲはギニアビサウ、バランタ族出身の俳優。

ポルトガル、リスボンのアクターズブランチで演劇の学位を取得後俳優の道を歩み始め、死にかけの妊婦から帝王切開をして赤ちゃんを救助する短編『Mutter』等に出演する。主演を務めた新作『ベルリン・アレクサンダープラッツ』はストックホルム映画祭で俳優賞を受賞し、国際的注目が集まっている。

SNSは不思議なもので日本語でツイートしたらインドのスター俳優にフォローされることがあったりするのですが、私はギニアビサウのスター俳優にフォローされました。コメントも届いていたので、「ギニアビサウ人のアイデンティティが失われドイツ人《フランツ》として生きようとする演技がよかったです」と書いたら、DMで短編映画が送られてきました。折角なので観てみました。

『Jah Intervention』あらすじ

Considering the research of the Brazilian Forum of Public Security (2017), Black people in Brazil are still more than half of the population of the country. Between 2005 and 2015 the number of black people murdered increased by 18% and this also made us the majority of homicide victims, accounting for 71% of all registered bodies. ‘Jah Intervention’ is a symbolic walk to exhaustion. The intervention proposes the preliminary warm-up that precedes a fight of titans in a boxing ring. The intervention consists of the movement of the performer sensing the sudden fall when affected by perforations by bullets of semi-automatic weapons.
訳:ブラジル公安フォーラムの調査(2017年)を考慮すると、ブラジルの黒人は依然として人口の半分以上を占めています。2005年から2015年の間に、黒人が殺害された数は18%増加し、これによって私たちは殺人事件の犠牲者の大半を占めるようにもなり、登録された死体の71%を占めるようになりました。「Jah Intervention」は、疲労困憊するまでの象徴的な歩き方です。介入は、ボクシングリングでの巨人の戦いの前に行われる予備的なウォーミングアップを提案する。介入は、半自動武器の弾丸による穿孔の影響を受けたときの、突然の落下を感知するパフォーマーの動きで構成されています。

imdbより引用

ギニアの俳優ウェルケット・ブンゲからの挑戦状

本作は、2014年3月16日、リオデジャネイロ北部に住むクラウディア・ダ・シルヴァ・フェレイラが銃撃を受けた事件に基づくパフォーマンスアートである。憲兵隊の車に入れられたが、扉が空いてしまい、250mも引きずられた。本作はウェルケル・ブンゲが250m分歩きながら抑圧を表現している。

鉄パイプが鳴り響くような乾いた音が木霊する。その中で彼は、にじり寄りながら、肉体の緊張と弛緩を交互に描く。途中で、彼は牛のお面を被る。目の前には赤い石が転がっている。これはクラウディア・ダ・シルヴァ・フェレイラの血を象徴しているように見える。つまり悪魔が彼女の魂を奪おうとしている。それに対してカットが変わると牛の対面にお面を被っていない彼がおり、木の陰から覗き込んでいる。これは市民が暴力に怯えていることを表象しているのだろう。

抑圧された人間は、その内秘めたモヤモヤを外に発散させたいが、それはなかなか難しいものがある。この映画の場合、縄跳びを抑圧の避雷針にしているが、その抑圧の膿は全て絞り出されていないように見える。この生々しい質感をウェルケット・ブンゲは好演していました。