『Gegenwart』トーマス・ハイゼ入門。ここは何処でしょう?

Gegenwart(2012)

監督:トーマス・ハイゼ

評価:90点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

今月、日本で鬼才トーマス・ハイゼの作品が初めて一般公開される。『ハイゼ家 百年』は、トーマス・ハイゼ家の物語とドイツ史を関連させた3時間を超えるドキュメンタリーとのこと。Twitterを見ていたら、トーマス・ハイゼ公式チャンネルで彼の過去作が楽しめるとのこと。『マテリアル』や『Heiner Müller, Zement, Berlin』、『Städtebewohner等が観られる。今回は入門で1時間くらいの作品『Gegenwart』を観たのですが、これが傑作であった。

『Gegenwart』概要

Das hatte ich nicht erwartet, und blieb mit offenem Mund. In der kurzen Zeit zwischen Weihnachten und Neujahr, als die Arbeit überhand nahm. Gesprochen wurde wenig. Es gab nichts zu sagen. Es geschah. Ich verfolgte beobachtend die einzelnen Schritte des Vorgangs und sah, wie die Arbeiter jeden dieser Schritte gehen. Ich war interessiert an der Sprache ihres Körpers im Lärm der Maschine, ihrem Atem. Ich sah die Bewegungen, routiniert, ohne Überflüssiges, den Produktionsabläufen optimal angepasst. Die Spannung im Körper. Der Arbeiter vor der Aschemühle wie ein Tänzer oder ein sehr speziell exerzierender Soldat Seine Arbeit, sein Tanz, wurde von einer Kamera überwacht, das Bild davon in die Zentrale übertragen und aufgezeichnet. Das Überraschende, die Endlosigkeit, der stetige Nachschub, dem nicht zu entgehen war, nie eine Pause, niemals Stille, kein Moment, in dem ein Mensch zur Ruhe kommt. Und ich bemerkte, wie ich mich zu gewöhnen begann. Die gleichmütige, fließende Bewegung des Handrückens wenige Zentimeter über der Asche, die knisternden Knochen. Die Reparatur des Ofens bei laufendem Betrieb zum Jahreswechsel nach Mitternacht. Die Konsequenz, das Offensichtliche, das mit uns geschieht.Wirtschaft Horatio, Wirtschaft!

No me lo esperaba y quedé con la boca abierta. En el breve lapso de tiempo entre Navidad y Año Nuevo, cuando el trabajo se volvió excesivo. Se hablaba poco. No había nada que decir. Las cosas sucedían. Yo observaba atentamente cada uno de los pasos y veía cómo los llevaban a cabo los obreros. Me interesaba el lenguaje de sus cuerpos al compás del ruido de las máquinas, su respiración. Veía sus movimientos, rutinarios, sin nada superfluo, perfectamente adaptados al proceso de producción. La tensión de sus cuerpos. El obrero ante el molino de ceniza, semejante a un bailarín o a un soldado haciendo ejercicios especiales. Su trabajo, su danza, era vigilada por una cámara y la imagen transportada a la central donde era grabada. Lo sorprendente, lo infinito, el continuo suministro del que era imposible escapar, nunca una pausa, nunca silencio, ni un momento de descanso. Y yo notaba cómo me iba acostumbrando. El imperturbable y fluido movimiento del dorso de la mano a pocos centímetros encima de la ceniza, el crujir de los huesos. La reparación del horno durante su marcha poco después de la medianoche del Año Nuevo. La consecuencia, la evidencia de lo que sucede con nosotros. Economía, Horacio! Economía!
私は予想していなかったので、口を開けたままでした。仕事に追われたクリスマスから新年にかけての短い時間の中で 話はほとんどなかった。何も言うことはない。それが起こった。私は、作業者がそれぞれのステップを踏んでいるのを観察しながら、プロセスのステップを追った。私が興味を持ったのは、機械の音や呼吸の中にある彼らの身体の言語です。私が見たのは、生産工程に完全に適合した、無駄のない日常的な動きでした。体の緊張感が 灰皿の前にいる作業員は、まるでダンサーのように、あるいは特別な運動をする兵士のように、彼の作業、彼のダンスはカメラで監視され、その映像はコントロールセンターに送信され、記録される。驚くこと、果てしないこと、逃れることのできない絶え間ない供給、決して間を置かず、沈黙せず、人が休む暇もない。そして、気がつけば、それに慣れ始めていました。灰の数センチ上にある手の甲の、安定した流れるような動き、骨のひび割れ。年の変わり目にストーブを稼働させたまま修理したのが深夜0時過ぎ。結果的に、当たり前のことが、私たちに起こっている。Economy Horatio, economy!

No me lo esperaba y quedé con la boca abierta. ナビダッドとアニョ・ヌエボの間の短い期間に、仕事が増えてしまったとき。Se hablaba poco. 何も言うことはありませんでした。そして、その通りになったのです。私は、すべてのパスを熱心に観察し、オブラートに包まれている様子を見ていました。私が興味を持ったのは、身体の言語とそれに伴う機械の破損、呼吸の仕方です。余分なものが一切なく、生産工程に完璧に適応したルティナリオスの動きをご覧ください。ラ・テンシオン・オブ・サス・クエルポス。 エル・オブレロがセニザの臼の前に立つ姿は、バイラリンや兵士が特別な運動をしているようにも見えます。あなたの仕事、あなたの踊りは、カメラで監視され、その画像は中央に運ばれて、そこに収められました。驚くべきこと、無限のこと、逃れることのできない連続したスミニストロで、一時も、沈黙も、一瞬も休むことはできない。あなたは、私が自分のことをどう思っているか知っていました。セニザから数センチ離れたところでの男性の背骨の不変かつ流動的な動き、そして頭のクルクルとした動き。新年の中央日から少し後の行進中に、ホルンの修理を行いました。La consecuencia, la evidencia de lo sucede con nosotros. Economía, Horacio! Economía!

※vimeoより引用

トーマス・ハイゼ入門。
ここは何処でしょう?

雪に包まれた幻想的な世界が映し出され、そこからとある工場のような空間にカメラはシフトする。東大王などでよく見かける、「ここは何処でしょう?」クイズのように、とある現場の一部が切り取られていく。現場の床は濡れており、清掃員が退屈そうに掃除をしている。無味乾燥とした空間にスッポリと穴が空いている。『コンスタンティン』さながら異世界に行けそうな穴に技術者が入っていく。錆に包まれた梯子を伝い、狭い空間でサイズを測りレンガを詰めていく男。まるで骨と骨の間で作業をしているようだ。機械的な空間と自然的な空間が不気味に共存する編集に目を奪われる。やがて、棺桶が見え始め、ここが火葬場であることに気づかされる。すると、カメラは執拗に棺桶を追跡し始める。業火の中に入れられる棺桶をピストン運動しながら捉える、オフィスの1空間に無造作に置かれる棺桶、棚に規則的に並ぶ棺桶。ここまで棺桶を意識したことがあるだろうか?観客は棺桶の動きが醸し出す独特な魅力に惹き込まれる。

本作はフレデリック・ワイズマン同様「観察映画」のスタイルで撮影されている。だが、明確に編集に差が現れている。フレデリック・ワイズマンは人々のテーマを通じた営みを多面的に捉えて、モザイク状に並べることによりテーマを浮かび上がらせる。一方で、トーマス・ハイゼは「火葬場」というテーマに対して、「棺桶」、「清掃員」、「技術者」に絞り、会話よりも動作の連続を捉えることでテーマを浮かび上がらせる。計器を早いカットで繋いだり、かと思えば火葬される棺桶を連続的なカメラの動きで捉えてたりする。静かな映画ながらも激しいカット捌きが、好奇心を刺激するのだ。トーマス・ハイゼ恐るべし。『ハイゼ家 百年』が楽しみになりました。

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