『未来世界』真面目なSFサスペンスと思いきや…

未来世界(1976)
FUTUREWORLD

監督:リチャード・T・ヘフロン
出演:ピーター・フォンダ、ブライス・ダナー、アーサー・ヒル、ユル・ブリンナーetc

評価:75点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

2020年の暮れにキングレコードの「死ぬまでにこれは観ろ!2020」のキャンペーンに応募しようとしたら、何故か3枚目の応募券が見当たらず急遽『未来世界』のブルーレイを購入しました。本作は『2010年』と同様に1作目が凄過ぎて存在すらあまり認知されていない作品の代表だ。SF映画でありながら西部劇でもある『ウエスト・ワールド』はユル・ブリンナーの不気味さが面白い作品であった。最近だとテレビシリーズとしてドラマ化もされました。さてそんな『ウエスト・ワールド』には続編があります。『未来世界』は『ウエスト・ワールド』から数年後を舞台にしている。凄惨な事故があったにもかかわらずリニューアルオープンするという割とありがちな続編でありながらも、『パララックス・ビュー』や『マラソンマン』といった陰謀論系サスペンスの重厚感とゆるい演出が面白い化学反応を起こしていました。

『未来世界』あらすじ


「ウエストワールド」の続編。ロボットを駆使したアミューズメント・パーク“デロス”の秘密に迫るレポーター。そこでは訪れた要人をロボットとすり替え、世界の行政を牛耳ろうとする計画が進んでいた。MGMが製作した前作に比べるとかなり安手な印象を受けるが、B級SFアクションとして観るならば、TV界のピーター・ハイアムズこと職人R・T・ヘフロンが堅実な演出で見せる及第作。
TSUTAYAより引用

真面目なSFサスペンスと思いきや…

事故により閉鎖されたデロス・ランド。来場者は西部や古代ローマの世界などに没入して当時の世界に酔いしれることができる。そこに「未来世界」という新エリアができてリニューアルオープンした。まるでデスゲームに集まる客のように、テレビ番組の懸賞で選ばれた浮かれてイキっている男や日本から来た成金野郎、そしてデロス・ランドからスキャンダルを引っこ抜こうと睨むジャーナリストが参加する。ディズニーランドのスペース・マウンテンを彷彿とさせる近未来な建物は観ている者もワクワクさせる。そして「未来世界」に対するセットの熱量に圧倒される。巨大な扉が開くと、ロケットが現れる。宇宙服を着た参加者は、まるでアポロ計画の一員にもなったようにロケットへ乗り込む。そしてガイドの合図に従って、スイッチを入れていく。宇宙旅行の擬似体験として本格的なクオリティが保証されているのだ。そして、宇宙ステーションに着くと、『スター・ウォーズ』に登場したホログラムチェスや宇宙スキーを楽しめる。20世紀アミューズメントパークのビジネス色を面白さで覆い隠そうとするギラついた雰囲気が漂っていて、観客ですら映画の世界に飛び込みたくなる程だ。

ただ、そこに潜入したジャーナリストが冴羽獠のように飄々と調査始めたあたりからオーラが変化していく。デロス・ランドの運営は、潔白であることを証明するためにジャーナリストを歓迎し、舞台裏を見せていく。何故か西部劇エリアですら自由行動させてくれて、彼が関係者以外立ち入り禁止の配管部分に侵入しても中々行動しないのだ。ジャーナリストもジャーナリストだが、運営も警備が適当すぎる。ジャーナリストも白昼堂々調査する。コントロールセンターに案内されるや、相棒の女性に従業員を堂々と口説かせ始めるのです。そして色仕掛けに乗らない従業員を見て、「コントロールセンターにいる人はロボットだ」と断言するのです。映画は至って真面目に描いているのに、やっていることが脳筋でニヤリとさせられます。

しかも、あれだけフラグとして懸賞に当たってイキっている男が登場していたのに、途中からどうでもよくなったのか放置プレイされてしまう。そして、侍と鉄パイプVS刀の真剣勝負をしたり、顔なしロボットとトランプする男が出てきて、施設のバックグラウンドで一服したりと異様なショットが続きます。なんだかこの硬派と軟派の極端な描き分けが独特のリズムを生み出して嫌いになれない。寧ろ、狂った世界で魅力的でもあります。『2010年』程陰に隠れた傑作とまではならなかったが、中々遊びに行けない今にぴったりな映画でした。午後のロードショーっぽいですね。

※MUBIより画像引用

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