アーヤと魔女(2020)
監督:宮崎吾朗
出演:寺島しのぶ、豊川悦司、濱田岳、平澤宏々路etc
評価:60点
第73回カンヌ国際映画祭が開催されなかったので、申し訳程度のブランド「カンヌレーベル2020」が各作品に付与された。日本からは河瀨直美『朝が来る』や深田晃司『本気のしるし 劇場版』にカンヌレーベル2020が付与される中、スタジオジブリ最新作にして初の3DCG映画『アーヤと魔女』にもこの称号が与えられた。そして、2020年末にNHKで放送された。悪名高い宮崎吾朗というのと、ダサいヴィジュアルに興味惹かれなかったのですが、実際に観てみるとこれが面白かった。
『アーヤと魔女』あらすじ
「ハウルと動く城」の原作でも知られるダイアナ・ウィン・ジョーンズの同名児童文学を、スタジオジブリが同スタジオ初の長編3DCGアニメとして映像化。1990年代のイギリスを舞台に、自分が魔女の娘とは知らずに育った少女アーヤが、奇妙な家に引き取られ、意地悪な魔女と暮らすことになる。宮崎駿が企画し、宮崎吾朗が監督を務めた。主人公アーヤの声を若手女優の平澤宏々路が担当するほか、寺島しのぶ、豊川悦司、濱田岳らがキャストとしてそろう。2020年・第73回カンヌ国際映画祭(新型コロナウイルスの影響で通常開催を見送り)のオフィシャルセレクション「カンヌレーベル」作品。NHK総合で2020年12月30日放送。
※映画.comより引用
もはやネグレクト!この支配からの卒業
ダイアナ・ウィン・ジョーンズの同名児童文学を読んでいないので、メインヴィジュアルからてっきり『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』みたいな内容かなと思ったら、バンドシーンはほとんど出てこない作品だった。それどころか、本作の舞台は8割型「家」に限定されており、新しい両親と猫と、魔女の化身しか登場しないミニマムな作品となっていた。赤い女性がバイクで疾走する。その背後を黄色い車が追いかけるが、彼女の魔法がそれをやっつける。こうして孤児院に一人の赤子が届けられた。彼女の名は「操る」。ちょっと変なので、「アーヤ」と呼ばれ孤児院で育てられることになる。彼女は生まれながらにして人を操る才能があり、持ち前のファムファタール性を発揮して孤児院の人全員を手中に収めている。そんな彼女が魔女に保護されることになる。学校にも行かせてもらえず、魔女の手下として仄暗い調理室で雑用を強いられることとなった彼女。彼女は俄然やる気を出して、この家を洗脳してやろうとするという話となっている。この雑用描写が、体罰が国で禁じられ、国際的にタブー視されている今からすると激しいものとなっている。便器を素手で拭く修行と同等の、汚物まみれの空間でひたすら罵声を浴びせてこき使っていくのである。ジブリ映画ではもはやクリシェとなっている印象派ババアなので、「ああ、ツンデレネタキャラだ。」と思えばなんともないのですが、体罰もしていたりするのでハラハラドキドキです。
そして誰しもが、あんな空間では生活できないと諦めてしまいそうなのに、アーヤの心はサッチャーのように鉄の女なので、徹底的に魔女を出し抜こうと戦略的ブリっ子をかましていく。なんだか観ている内に元気になってきます。多分、この映画は学校や会社で嫌な人にいびられている人にとってメンタルケアのサプリとして機能するでしょう。
結局、ポスタービジュアルのようにアーヤが歌う場面なんてないので、肩透かしを食らいつつも、この攻防劇は面白く拝見した。
あれっ?ひょっとしてこれって、スタジオジブリの内部告発映画かな?
※映画.comより画像引用
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