『トマホーク ガンマンvs食人族』死はすぐ隣にあるもんだぜ

トマホーク ガンマンvs食人族(2015)
Bone Tomahawk

監督:S・クレイグ・ザラー
出演:パトリック・ウィルソン、リリー・シモンズ、カート・ラッセル、ザーン・マクラーノン、ショーン・ヤングetc

評価:90点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

ブルータル・ジャスティス』で日本でも急激にファンが増えたカルト映画監督S・クレイグ・ザラー。彼の映画は予告編を観ただけだと、魅力が伝わりにくいのだが一度観ればやみつきになる鈍重濃密な物語と暴力描写は私も衝撃受けました。今回、彼の作品の中でも人気が高い『トマホーク ガンマンvs食人族』を観ました。

『トマホーク ガンマンvs食人族』あらすじ


「ヘイトフル・エイト」のカート・ラッセルが主演を務め、食人族に連れ去られた人々を救うべく立ち上がった4人のガンマンの戦いを描いた西部劇アクションスリラー。アメリカの荒野にある田舎町で、複数の住人が忽然と姿を消した。さらに空き家の納屋で、惨殺された男性の遺体が発見される。現場の遺留品や遺体の状態から、犯人は食人族として恐れられている原住民であることが判明。保安官のハントら4人の男たちは拉致された人々を助けるため、足跡をたどって荒野を進んで行くが……。共演に「ウォッチメン」のパトリック・ウィルソン、テレビドラマ「LOST」のマシュー・フォックス、「扉をたたく人」のリチャード・ジェンキンス。「ザ・インシデント」の脚本を手掛けたS・クレイグ・ザラーがメガホンをとった。
映画.comより引用

死はすぐ隣にあるもんだぜ

男たちがそろりそろり荒野を歩く。突如、日の向きが変わり不穏な空気に包まれる。やがて先住民の墓らしきものが見つかる。引き返そうとすると、謎の部族に矢をプスッと刺されて絶命する。本作は、西部開拓時代における死の距離について映画的盛り上がりに包みながらもリアルに描いていく。荒野を男たちが歩いていると草むらから、岩陰から突然食人族が現れて呆気なく血祭りにあげられる。そして揉みくちゃになる場面では、キアヌ・リーヴスのような機敏なアクションはなく、泥臭く死の淵ギリギリのところで生きようとする者の停滞した動きが描かれる。それにより、銃を撃たれてもなかなか死なない食人族ですら人間なんだと感じ、緊迫感が出る。例えば、足を負傷した男が食人族と出会う場面。弓を放とうとする食人族に対して銃を撃ち、弓を破壊する。しかし、弾切れとなってしまい肝心な食人族を仕留められていない。食人族はキョロキョロと周りを見渡し、鈍器を持って迫ってくる。彼に殴られる前にリボルバー銃の再装填を完了できるかどうかのスリルはたまらないものがあります。さらに、食人族のアジトでは、彼らが銃の使い方を習得しようとするシーンがある。初めて見る機械を手探りに触る危なげな仕草とそこから生還しようとする男が共存することにより、死が隣り合わせの空間ができあがる。ジャンル映画でありながらも丁寧に、死と隣り合わせの空間を作っていくS・クレイグ・ザラーの魅力が詰まっているのです。

さらに彼は粋な会話をスパイスに忍ばせる。寂れた酒場のピアニストの料金設定の話や、童貞を隠そうとして「あえて結婚しない男」を豪語するもツッコまれてしまう展開などタランティーノの映画以上に記憶に残る駄話が映画を魅力的にさせていました。

次回作はパク・チャヌクの西部劇の脚本を手がけるとのことなので楽しみだ。

※imdbより画像引用

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