新しい街 ヴィル・ヌーヴ(2018)
Ville Neuve
監督:フェリックス・デュフール=ラペリエール
出演:ロバート・ラロンド、ジョアンヌ=マリー・トランブレー、テオドール・ペルランetc
評価:60点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
渋谷イメージフォーラムで渋いアニメーションが上映されているということで行ってきた。『新しい街 ヴィル・ヌーヴ』は入場者プレゼントで原画を配る面白い宣伝をしている作品。海外のアニメとしてはかなり大人向けらしい。果たして…
『新しい街 ヴィル・ヌーヴ』あらすじ
離婚した夫婦の再会と再度の別れを淡々と描いたレイモンド・カーバーの短編小説「シェフの家」をベースに、1995年のケベック州独立運動を背景にした元夫婦の過去と現在、そして未来の物語を描いたカナダ製アニメーション。アル中の詩人ジョゼフは、別れた妻のエマを「ヴィル・ヌーヴ(新しい街)」に呼び出す。思い出の地で再会した2人の関係は良好であるかに思えたが、独立運動の高まりによって、その関係に新たな波乱が巻き起こる。監督は初の長編アニメーション作品となるアニメーション作家のフェリックス・デュフール=ラペリエール。全編が墨絵の手描きのビジュアル、随所に詩の朗読が挟まれる構成で、ベネチア映画祭の「ヴェニス・デイズ」部門でのプレミア上映のほか、アヌシー、ザグレブなど世界的なアニメーション映画祭で上映された。
※映画.comより引用
ゲキ渋異色アニメーション
街で男が何者かに襲われる。黒づくめのシルエットに襲われた彼は、傷だらけな姿でトボトボと海辺の家に帰る。電話をすれども電話の相手はなかなか応えてくれない。彼はバーで一杯呑み、釣りに行く。黄昏に生きる男の人生と1995年のケベック州独立運動を交差させて繊細に揺らめく感情を捉えていく。そもそもレイモンド・カーバーの短編小説『シェフの家』のアニメ化という時点でマニアックなのだが、ケベック2度目の独立運動を背に世代断絶を入念に描くところが新鮮だ。彼はヒッチハイクで若者のバイクに乗せてもらう。そこでケベック州の独立に関して議論がなされているのだが、若者には「どうせ変わらない」という諦めが滲み出ている。一方、男もつい最近までアル中で家族に見捨てられ、諦めの人生を歩んでいた。そんな彼が一歩外側から黄昏に生きる者を見て心揺さぶられるのだ。
個人的に、本作はカーバーの小説というよりかは『ユリシーズ』テイストに感じた。一人の男のとある日を地味に壮絶に描く。男は愛を取り戻す凱旋の旅の道中で、暴力、独立運動、若者との世代断絶感じさせる対話といったエピソードがさざ波のように迫る。ケベック事情に精通していない為、よくわからない部分も多かったのですが、味わい深い作品でありました。
※映画.comより画像引用
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