『スケボーが私を変えるアフガニスタン 少女たちの挑戦』抑圧へのユニークな打開策

スケボーが私を変えるアフガニスタン 少女たちの挑戦(2019)
Learning to Skateboard in a Warzone (If You’re a Girl)

監督:キャロル・ディジンガー

評価:55点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

2020/8/4(火)午前0時よりNHKの《BS世界のドキュメンタリー》で第92回アカデミー賞短編ドキュメンタリー賞を受賞した『Learning to Skateboard in a Warzone (If You’re a Girl)』が放送されます。本作は、男尊女卑社会であるアフガニスタン・カブールで読み書きとスケボーを教える団体Skateistanに迫った作品。監督のキャロル・ディジンガーはアメリカの映画名門学校の一つニューヨーク大学出身だ。彼女は2010年に『キャンプ・ビクトリー~アフガニスタン軍司令官の苦闘~』(こちらもNHKで2013年に放送されている。)を製作。9.11後のアフガニスタン3部作の第一弾としてアフガニスタン国軍の基地キャンプ・ビクトリー駐留する第207部隊に迫った本作はSXSWに選出された。そして2作目にあたる『One Bullet Afghanistan』の製作の間で完成した作品が、『スケボーが私を変えるアフガニスタン 少女たちの挑戦』である。最近では、中国一人っ子政策の暗部に迫る『一人っ子の国』の編集コンサルタントを務めたりしており、今後注目のドキュメンタリー作家であるキャロル・ディジンガーの『スケボーが私を変えるアフガニスタン 少女たちの挑戦』を観てみました。

『スケボーが私を変えるアフガニスタン 少女たちの挑戦』あらすじ


女性への抑圧が深刻なアフガニスタンで、貧しい少女達にスケートボードのレッスンを通して勇気を授ける学校を取材。不安や恐怖を克服して希望を抱き始める少女達の姿を追う

NPOが運営するカブールの女子校では、男の子のスポーツとされるスケートボードの授業を取り入れている。その狙いはタリバン政権の女性抑圧政策により、徹底的な行動制限を受けた時代の負の記憶を払拭させることだ。この授業を通じて変化してゆく少女達の姿を描く。2020年アカデミー賞短編ドキュメンタリー賞受賞。原題:LEARNING TO SKATEBOARD IN A WAR ZONE(イギリス 2019年)
BS世界のドキュメンタリーより引用

抑圧へのユニークな打開策

中東の国は宗教や慣習と結びつき、男尊女卑による抑圧が強かったりする。イスラームの戒律によって自転車に乗ることがタブー視されている世界で自転車に乗ろうとする少女を描いたサウジアラビア映画『少女は自転車にのって』や、自転車に乗った女性を男が邪魔する様子を描いたイラン映画『私が女になった日』からもその厳しさが伺える。サウジアラビアも例外ではない。タリバン政権で女性は長らく抑圧されてきたのだ。NPO団体Skateistanでは、未来を担う子どもたちに希望を与える為に、読み書きだけではなく、スケボーを教えている。段差に子どもたちが横になり、それを飛び越えたり、先輩が後輩を指導したりしながら、女性同士のコミュニティ形成を促している。

また、カブールの貧しい家庭の子どもが多いので、読み書きを教え、積極的に発言の機会を与えることで、彼女たちに自分たちの意思で発言させようとするのだ。このスケボー教室と読み書き教室の並行は、良い刺激となっており、世界で活躍できるのでは?という希望を与えることができる。中にはニュースキャスターになりたいと言い始める子どもたちも出てくる。短編ドキュメンタリーなので調査リポート的要素が強く、映画としては物足りなさがあったり、章立てされている割には似たような話が展開されていたり、そもそも概要以上の情報や、外部との関係性の提示に弱い部分があり、アカデミー賞を獲るのは順当だが、賞を獲る程度の作品に留まってしまった感じは否めない。

とはいえ、男尊女卑で長年虐げられてきた女性に対する希望がチラリと見えた点は注目しなくてはいけないと感じました。

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