【東京フィルメックス2019】『カミング・ホーム・アゲイン』そのカルビ、美味しくない…

カミング・ホーム・アゲイン(2019)
Coming Home Again

監督:ウェイン・ワン
出演:ジャスティン・チョン、Jackie Chung、クリスティーナ・ジュライ・キムetc

評価:10点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

東京フィルメックスでウェイン・ワンの新作『カミング・ホーム・アゲイン』が上映されました。ウェイン・ワンといえば『スモーク』で日本の映画ファンを魅了した監督。その後、ビートたけし主演『女が眠る時』の監督を務めるなど、国際的に活躍する監督である。そんな彼が、韓国系アメリカ人の終活を描いた作品『カミング・ホーム・アゲイン』を発表しました。しかし、これが残念な映画でした。

『カミング・ホーム・アゲイン』あらすじ


韓国系アメリカ人の作家が大晦日のパーティーに備えて母親から韓国料理のレシピを教わる。そして彼の脳裏に人生における幾つかの瞬間がよみがえる……。在米アジア人の家族を何度も描いてきたウェイン・ワンの新たな傑作。トロント映画祭で上映。
※東京フィルメックスより引用

最後までしっかり調理して!

癌で死にゆく母の為に、母直伝のカルビを振る舞おうとする内容。

そこに、母との思い出が交錯し、母への謝りたい気持ちが隠し味になってくる。アメリカに家族で渡ってきたものの、母親が英語話せるのに何でも自分に訊いてくる姿にフラストレーションが溜まってくる。家族との仲は険悪でバラバラになってしまった。姉は最新医療で何としてでも母を救おうとするのだが、それは母が喜ぶことではないと父と息子は止める。そこでも軋轢が生まれていく。それを母のカルビが繋ぎ止めていく。

映画はじっくりじっくり丁寧にカルビを作っているようだが、最後まで丹念に作ってこそ美味い。それを忘れてしまったらしく、ラストにソースをガバーっと入れてしまい全てが台無しになってしまった。最後に、ところでと…息子が母からの差し入れを食べて吐き出してしまう挿話が組み込まれる。折角、美味しく頂こうとするが思わず吐いてしまうところから、身体には抗えない哀しさを母の側面/息子の側面から対比させてみようとする意欲を感じるのだが、最後で唐突にその対比を魅せるのはあまりにも芸がない。

そして時間軸をごちゃごちゃ動かしているのだが、それは意味を持っていないようにみえ、正直今年ワーストクラスで退屈な作品となってしまった。ウェイン・ワンって『スモーク』だけの一発屋で終わっている感じがして今回も残念でした。

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