『The Souvenir』A24製作 耽美な構図で描かれるクズ男に貢ぐ女

ザ・スーヴェニア(2019)
The Souvenir

監督:ジョアンナ・ホッグ
出演:オナー・スウィントン・バーン、トム・バーク、ティルダ・スウィントン、ニール・ヤングetc

評価:50点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

来年のアカデミー賞のA24枠は恐らくアリ・アスターの『Midsummer』1択だろう。しかし、『SKIN』のように他の作品も依然としてギラギラしているのがA24。他にもまだ傑作の弾が隠されているらしい。そんな一つ『The Souvenir』を観ました。マーティン・スコセッシがエグゼクティブプロデューサーに名を連ねている本作は、『Unrelated』、『Exhibition 』の新鋭ジョアンナ・ホッグの学生時代をベースにした物語です。

『The Souvenir』あらすじ


A young film student in the early ’80s becomes romantically involved with a complicated and untrustworthy man.
訳:80年代初頭の若い映画の学生は、複雑で信頼できない男性とロマンチックに関わるようになります。
※imdbより引用

耽美な構図で描かれるクズ男に貢ぐ女

よく映画監督は、自分なりの映画史や映画内幕モノを撮る。映画好きが映画についての映画を撮るので大抵は超絶技巧、テンションの高い作品となるのだが、本作は至って冷静だ。まるで『ファントム・スレッド』を思わせる耽美で、絵画のような構図の中、寂れていく街の家族ドラマを撮ろうとしている監督のトラブルが描かれる。彼女は、外務省で働いていると思われるイケメンのアンソニーと出会い一緒に暮らし始める。しかし裕福であるはずの彼は、定期的に彼女に金をせびってくるのだ。実は彼はヘロイン中毒で、有り金を全てヘロインに費やしてしまう問題を抱えていたのです。

しかし、それに気付いた時にはもう遅い。彼はヘロインのためにどんどん壊れていき悲劇へと繋がっていくのだ。本作は、イケメンでカリスマ的な男に幻想を抱いていた彼女が彼を克服していく様子と、ハマってしまっている映画製作を超えていく様子をクロスさせて描くことで精神的成長の過程を描いている。ジョアンナ・ホッグ監督は、主観的になりがちであろうテーマを極めて客観的に、しかも太宰治の小説のような(『ヴィヨンの妻』あたり)繊細な哀しみと辛さが駆け抜けていく作品へと昇華させました。

とはいっても、個人的に退屈してしまったのは確か。やはりテンション高く自分の映画史を語る映画の方が好きなようです。

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