【東京国際映画祭特集】『いい意味で小悪魔』平和的カルメン/果てしなく平行な恋愛闇鍋

いい意味で小悪魔(2018)
原題:Charlotte a du fun
英題:Slut in a Good Way

監督:ソフィー・ロレイン
出演:マルグリット・ブシャール、ロマーヌ・ドゥニ、ローズ・アダムetc

評価:65点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

東京国際映画祭シーズンなので、去年見逃した映画『いい意味で小悪魔』を観ました。親友が昨年のベストに入れる程絶賛していたイケメンだらけのおもちゃ屋恋愛奇譚。白黒映像で展開されるマンブルコアテイストの作品中々ユニークな作品でした。

『いい意味で小悪魔』あらすじ


仲良し女子3人組。話すことといったらファッションとセックスのことばかり。大型のおもちゃ店でバイトを始めたら、イケメンばかりじゃん!セックスと友情と愛情と少しだけマジメな話も盛り込んだ、欧米高校生図鑑!
※Filmarksより引用

平和的カルメン/現代的距離感

本作は、男女の恋愛感情のディスカッション、吐露を描く極めてヌーヴェルヴァーグ的作品(厳密に言えば、フィリップ・ガレル系映画)なのだが、これが奇妙なことに男女共に一定の距離感を保ったままなのだ。通常、この手の恋愛映画は男女が超絶至近距離で互いの感情を本能むき出しでぶつけ合う。あるいは、女々しくメソメソ自問自答するものなのだが、ここに映る男女はドライだ。ギャルは《大きなイチモツ》のぬいぐるみ(?)を頭に乗せ、公園でドラッグをスパスパやり、ワイワイする下品さを持つが、イケメンの前では目をキラキラさせ清純系を装う。イケメンだらけのおもちゃ屋にいる絵に描いたようなイケメンとギャルが店の中に集まり、テラスハウスみたいな状態になるのだが、ドロドロ昼ドラ的展開になることなく、常に一定の距離感を保ち、仲良くやっている。いや、それぞれの思惑はあるのだが、この世界においては平等なのだ。

恋愛映画において、どうしても薄幸な少女に王子様みたいな段差が生まれがちだ。恋愛とは、男女、あるいは愛する同性同士が、互いの歩数やポジションを合わせていくものだから、露骨なシンデレラストーリーでなくても差は生まれるもの。しかし、本作は究極の男女平等をやろうとした結果、パリピな空間なのに草食系という極めて異常な世界観が広がっていた。

発展しそうで、しない。いや前には進んでいるのだけれども、なぜか透明な壁が男女を阻む。例え、ファム・ファタールものの代表である『カルメン』の曲をバックにヒロインが踊っていようが、インド映画の魅惑のダンスを踊っていようが、果てしなく平行線を辿る恋愛奇譚に、我々が無意識に取っている恋愛のポジショニングというものを気づかせてくれました。

これは日本公開してもいいのではないでしょうか?ヒューマントラストシネマ有楽町あたりでさ。

ブロトピ:映画ブログの更新をブロトピしましょう!
ブロトピ:映画ブログ更新

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です