【ネタバレ】『キャプテン・マーベル』何だろう、この卒業式リハーサル感は?

キャプテン・マーベル(2019)
Captain Marvel

監督:アンナ・ボーデン、ライアン・フレック
出演:ブリー・ラーソン、サミュエル・L・ジャクソン、ベン・メンデルソーン、ジャイモン・フンスー、ジュード・ロウetc

評価:40点

マーベル・シネマティック・ユニバース、、、

ブンブンはそこまでマーベル映画の感想に毎回熱をこめない。割と、Not for meだなと毎回受け流しているのですが、ブンブンが映画に嵌り始めた頃に『アイアンマン』が公開されかれこれこのユニバースとは10年もの付き合いだ。そして来月『エンド・ゲーム』という名の卒業式が待っている。いくらマーベル映画と距離を置いているブンブンですら、卒業式は涙なくして観ることはできない。この10年を振り返り、やっぱりなんだかんだいって個人主義の傲慢男から、多様性が激しい巨大な組織を統治する者へと成長していくアイアンマンの姿には胸が熱くなるし、普通の人間なのに訳のわからない集団に揉まれながら生きるホーク・アイには惚れ惚れとしてしまう。お調子者高校生が、意識高い系として前のめりになりながら、挫折も味わいながらもアベンジャーズに参画していくスパイダーマンや、銀河の彼方で自由奔放に時折世界を救う守護者になんかちゃっかり現れるスタン・リー大先生に癒されてしまう。やっぱり、アベンジャーズの横で映画好きをやっていた自分としても思い出が深すぎるのだ。そんな、小学、中学、高校、大学の卒業式なんかよりも圧倒的にエモーショナルな気持ちになってしまい直視できるのかさえ不安になる『アベンジャーズ/エンド・ゲーム』を前に、最後の前夜祭が開幕した。それが『キャプテン・マーベル』だ。マーベル・シネマティック・ユニバースにおいて、女性のヒーローは常に物語の《おかず》ポジションであった。ブラック・ウィドウやオコエ、ガモラといった魅力的な女性キャラクターはいれど、割とアベンジャーズの世界は男性社会だった。そこに、マンを期して女性ヒーロー中心の物語が現れたのだ。しかも、名前が『キャプテン・マーベル』。《MARVEL》なんですよ。

ちょっぴり、ブンブンの周りの評判が悪い気もしたのだが、ワクワクしながら映画館へ行きました。

今回はネタバレありで『キャプテン・マーベル』について語っていきます。

『キャプテン・マーベル』あらすじ


マーベルコミックが生んだヒーローが結集する「アベンジャーズ」シリーズに連なる「マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)」の一作で、MCUでは始めて女性ヒーローが単独で主役となったアクションエンタテインメント。アベンジャーズ結成以前の1990年代を舞台に、過去の記憶を失った女性ヒーロー、キャプテン・マーベルの戦いを描く。1995年、ロサンゼルスのビデオショップに空からひとりの女性が落ちてくる。彼女は驚異的な力を持っていたが、身に覚えのない記憶のフラッシュバックに悩まされていた。やがて、その記憶に隠された秘密を狙って正体不明の敵が姿を現し……。後にアベンジャーズ結成の立役者となるニック・フューリーも登場し、アベンジャーズ誕生のきっかけとなるヒーローの始まりが明らかにされる。「ルーム」でアカデミー主演女優賞を受賞したブリー・ラーソンがキャプテン・マーベル役で主演。ニック・フューリー役のサミュエル・L・ジャクソンのほか、ジュード・ロウらが共演。監督は、マーベル映画では初の女性監督となるアンナ・ボーデンと、ボーデンとともに「ハーフネルソン」などでコンビを組んできたライアン・フレック。
映画.comより引用

何だろう、この卒業式リハーサル感は?

冒頭《MARVEL》シーン。いつもなら、アイアンマンにキャプテン・アメリカ、ハルクといったヒーロー達がコミックのパラパラや立体文字の反射に映し出されるところから始まるのですが、今回はそのヒーローが全てスタン・リーとなっている。昨年亡くなった、アメコミの王にしてマーベル・シネマティック・ユニバースを支え、多くの人に勇気と希望を与え続けたスタン・リーへの追悼だ。これだけでマーベル映画に救われた人はハンカチが使えなくなるぐらい涙が溢れることでしょう。

そして、いきなりブリー・ラーソンとジュード・ロウのカンフーアクションが観られる。いきなりカンフーアクションですよ!

そして宇宙での一悶着の末ブリー・ラーソン演じるキャプテン・マーベルがスクラル人に捕らえられ、脳内を弄り回される。過去の回想シーンは、フィルムの粗さを強調した巧みな演出によって次々と移ろいゆく回想の儚さ、そしてスクラル人がもってしてもそう簡単に過去から機密情報を引き出せない様を物語らせます。

なんとかキャプテン・マーベルはスクラル人の宇宙船から逃れ地球へ降り立つ。彼女が落下する場所は、日本のレンタルビデオショップ《ゲオ》の祖先にあたると言われているBlockbusterだ。彼女は、『トゥルー・ライズ』のパネルにビームを放ち、『ライトスタッフ』のパッケージをマジマジと見る。今やVODで失われていくレンタルビデオショップ文化の微かな薫りに頭がクラクラします。そして彼女の前に現れるのは、若き日のニック・フューリーことサミュエル・L・ジャクソン。『パルプ・フィクション』の頃の彼とまでは言わないがアンチエイジングされた彼の姿に心踊らされる。そして、今までアベンジャーズシリーズでは、ただ立っているだけの上司という役割であったフューリーが機敏に動き活躍するのです。その活躍っぷりを1980~90年代にエディ・マーフィーやウィル・スミス主演で撮られて流行っていたブラック・バディ・ポリスものの質感で描写する。

そう思っていると、物語は『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のような、あるいは『ギャラクシー・クエスト』を彷彿するゆるゆる異星人共闘ものへと発展する。敵だと思っていたスクラルのタロス親分がユーモラスで家族想いないい奴で、GotGにおけるヨンドゥばりに活躍し、真の敵であるジュード・ロウ(スター・フォースの司令官)含むクリー帝国一派と闘う。そして単なるマスコットだと思っていた猫のグールが《クラーケン》という異名を現実のものとして、敵を次々と食い、大事な四次元キューブを預かる《MARVEL(=驚くべきこと)》な展開。

そして何者かを探していたキャプテン・マーベルがアイデンティティを取り戻して無双しジュード・ロウを追い詰める。そして彼が「最後は拳で戦おうぜ」といった途端、そんなの関係ねぇと言わんばかりのビームで蹴散らす。定石外しの妙。

ハーフネルソン』でライアン・ゴズリングをアカデミー賞にノミネートさせたコンビ作品とは言え、正直アンナ・ボーデン、ライアン・フレックがここまで厄介な仕事をこなせるとは思ってもなかったのでびっくりした。

こう聞くと、傑作だと思うじゃないですか!

…なんなんだろう、この微妙さは…

実は最後までノレなかったのです。本作は『アベンジャーズ』誕生前の物語なので、余計な知識はいらないはずだし、実際にスタン・リーもニック・フューリーも知らなくても、しっかり楽しめる作りになっている。だが、面白くないのだ。この感覚なんだろうと帰り道ずっと考え、ふと脳天に雷が落ちた!

《卒業式の予行練習》

卒業式の予行練習って、本番と同じように練習するじゃないですか。校歌を斉唱したり、卒業証書授与したり、先生のお言葉があったり、チャラ学校だとパフォーマンスや思い出映像集もあるのかな?でもこれってたるいじゃないですか!

いくらクラスの人気者がパフォーマンスしたり、クラスで一番の美女が登壇しても泣かないじゃないですか。ただ明日になれと祈るじゃないですか!

あれですよあれ!

本作は『アベンジャーズ/エンド・ゲーム』が待ち遠しくなる卒業式予行練習の再現としては満点だ。ただ、多分監督はそこまでマーベル映画に興味ないのではないだろうか。サノスの計画とか、様々なヒーローの魅力にあまり興味ないのではないだろうか?一世一代の大仕事。ここで腕を挙げたら、大物監督になれる。このチャンスを逃すまいと一生懸命仕事したに過ぎないのではないだろうか。ファンから叩かれないように、絶妙なバランスでファンサービスと脚本を練った。ただ、その潔癖すぎるともいえる完璧な作風は、まるで就活のエントリーシートをマニュアルそのまま写した味気のない、監督の個性や主張というものが見えてこないものでした。ブンブンはどうしても作家主義的に映画を観てしまう癖があるのもあり、残念ながらNot for meでした。早く『エンド・ゲーム』公開日ならないかなぁ


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