ディーブ(2014)
Theeb
監督:ナジ・アブヌワール
出演:Jacir Eid Al-Hwietat, Hussein Salameh Al-Sweilhiyeen etc
評価:80点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
第88回アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされ、東京フィルメックスでも上映されたヨルダンのアクション映画『ディーブ/Theeb』を観ました。一応、フィルメックスでは上映されたものの、日本一般公開は達成できなかった作品であります。ただ、予告編を観てマッドマックスの空気を感じたので、米国iTunesでレンタルしてみました。果たして…
『ディーブ』あらすじ
第1次大戦中、オスマン帝国の支配下にあったアラビア半島西部ヒジャーズ地方を舞台に、砂漠に暮らす遊牧民の少年ディーブのたどる運命を描いた物語。ある日、イギリス人の将校に道案内を頼まれたディーブは、兄とともに英国人将校を連れて出発する。極秘任務を背負っているという将校は、ヒジャーズ鉄道近くの井戸を目指していた。しかし、道中に何者かに襲撃され、将校ばかりか兄も殺害されてしまう。監督は、これがデビュー作となるナジ・アブヌワール。日本では2014年・第15回東京フィルメックス・コンペティション部門で上映された。
※映画.comより引用
ヨルダンの『勇気ある追跡』
日本では先日『マルリナの明日』がナシゴレン・ウエスタンとして紹介されました。和製西部劇『スキヤキ・ウェスタン・ジャンゴ』がスキヤキ・ウェスタンと呼ばれたり、他国の西部劇は食べ物の名前がジャンル分けとして使われる。ではヨルダンのこの西部劇はなんて呼べばいいのだろうか?調べてみたらヨルダンの伝統的な料理として、羊肉をヨーグルトソースに絡めた《منسف=マンサフ》というものがあるそうだ。ってことで、本作をマンサフ・ウエスタンと呼んでおこう。本作は『アラビアのロレンス』の裏側で展開される西部劇だ。イギリス人の将校の道案内を頼まれた少年が兄と共に襲撃を受ける。銃撃戦の末、兄も将校も殺されてしまった彼は単身復讐の旅に出るというもの。兄や将校から銃撃スキルを教わる様子や、高低差を活かした戦闘はもろ『勇気ある追跡』そのもの。『勇気ある追跡』といえばコーエン兄弟によってリメイクされましたが、個人的に『勇気ある追跡』の持つ緊迫感まで再現できているのは『ディーブ』の方だと思う。そして『勇気ある追跡』と違うところは、少年ディーブが腰抜けだということ。銃なんかまともに持てず、常に兄や将校に守ってもらっているような少年。半べそヤケクソ少年が、銃撃によりたった一人になってしまう。そこから修羅の道を行脚し、敵を殺しに行くまでのカタルシスが圧倒的興奮を呼び覚ます。ヨルダンという荒野のロケーション、『マッド・マックス/怒りのデス・ロード』ロケ地にも使われただけあって本当に素晴らしい。
西部劇ファンが食いつかないはずがない傑作なのですが、残念ながら日本公開できなかった。これはどこかで再上映されて欲しいと感じました。
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