【酷評】『さよならくちびる』Les méchants ne chantent pas.(意地悪は歌わず)

さよならくちびる(2019)

監督:塩田明彦
出演:小松菜奈西野、門脇麦、成田凌、篠山輝信、松本まりかetc

評価:35点

賛否が大激突しているらしい音楽映画『さよならくちびる』を観てきた。なるほど、神経逆撫で系か…ってことで語っていきます。

『さよならくちびる』あらすじ


「黄泉がえり」「どろろ」の塩田明彦監督が、小松菜奈と門脇麦をダブル主演に迎え、居場所を求める若者たちの恋と青春をオリジナル脚本で描いた音楽ロードムービー。インディーズ音楽シーンでにわかに話題を集めただけの2人組女性ユニット「ハルレオ」のハルとレオは、それぞれの道へ進むため解散を決める。2人はサポート役であるローディの青年シマとともに日本縦断の解散ツアーに出るが、レオはシマに、シマはハルに思いを寄せており、ハルもまたレオに友情を越えた感情を抱いていた。複雑な思いを胸に秘めながら、各地でステージを重ねていくハルレオだったが……。レオを小松、ハルを門脇、シマを「愛がなんだ」「ビブリア古書堂の事件手帖」の成田凌が演じる。「ハルレオ」が歌う主題歌プロデュースを秦基博、挿入歌の作詞・作曲をあいみょんと、それぞれ人気ミュージシャンが楽曲を手がけた。
映画.comより引用

Les méchants ne chantent pas.(意地悪は歌わず)

バンド映画は通常、バンド結成するとこれから、あるいは華やかな場面から始まるのだが、本作は違う。いきなり解散ライブの道中へと誘います。険悪な車内から始まり、ライブも観客を待たせに待たせ、フラストレーションを溜めて爽やかに歌う。

我々は映画を観に来たのであって、ライブを観に来た訳ではない。だから、ライブの外側にあるアーティストのいざこざを拡大して魅せるのは構わないし、確かにその路線で成功している作品はある。アレックス・ロス・ペリーの『HER SMELL』など。確かに映画にはルールはないし、型破りな映画は褒めがちなブンブンでも今回ばかりは、「文法ぐらいは守ってほしい」と感じてしまった。

というのも、音楽映画にしてはライブ場面をぶつ切りする場面が多いし、ロードムービーにしては、バラエティ番組のように瞬間移動し過ぎである。ロードムービーとして観た際にも致命的「道」の欠落、遥か彼方に続く道から自分の将来を見つめ直すという醍醐味が全くないのです。なので、ハルレオがやさぐれ旅で得るものというものが見えてこない。RGのあるあるネタのように、中々核心に迫らず、最後の最後で核心を語るカタルシスとして「さよならくちびる」なんか歌いますが、そこには感動がありません。

ただひたすらに断片を切り貼りした、ホワイトボードを魅せられても、私は映画を観たいのであってマインドマップやらそんなのを映画館では観たくないのです。

きわめつけは、ハルレオの追っかけファンのティーンズが登場するのだが、これが全く物語と関係ない上、テレビに向かって泣きじゃりながら「さよならくちびる」を歌うシーンは生理的拒絶反応が強くげんなりしてしまいました。

もちろん、黒沢清映画ばりにカクカク歩き、そこから不協和音を増長させていく演出に光るものはあれど、うーん、イマイチ、、、と感じてしまいました。

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