『アラビアン・ナイト 第3部 魅了された人々』エンドロールに注目

アラビアン・ナイト 第3部 魅了された人々(2015)
As Mil e Uma Noites: Volume 3, O Encantado

監督:ミゲル・ゴメス
出演:クリスタ・マウファイアッチ、アドリアーノ・ルズ、アメリコ・シルバetc

評価:60点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

イメージフォーラム・フェスティバル2019で特集上映されるミゲル・ゴメス『アラビアン・ナイト』3部作。ブンブンもようやく1年近い歳月かけて第3部まで読了しました。なんで映画なのに《読了》という言葉を使うのか?それについて語って行きます。

『アラビアン・ナイト 第3部 魅了された人々』あらすじ


第3部 魅了された人々
「バグダッドの島々」「千夜一夜物語」に語り手として登場する娘シェヘラザードが、王に語る物語に苦労していると父である大臣に告白し、暫しの猶予のあいだに放蕩者の美男や、泥棒でもダンサーでもあるエルビスに出会う。ノーヴォス・バイアノスの Samba da Minha Terraがフィーチャーされる、ミュージカルやブラジリアン・ポップスへのオマージュでもあるエピソード。「小鳥の歌声コンペ」この映画で最も長いパートで、野鳥を捕獲して飼育し、歌声を競うコンテストでの優勝を目指す風変わりな男たちのドキュメンタリー。
以前のエピソードでも俳優として登場していた人々も登場し、小鳥の声に取り憑かれた男たちの生活ぶりや、その歴史や、コミュニティーなどが克明に描かれていく。さらにこのエピソードの途中に現実に起こった労働者たちのデモと警官隊が衝突するドキュメンタリー画面に、画面外では中国からの移民女性の悲劇を語る「暑い森」を挟み、映画は揺れ動くポルトガルのあらゆる現実をとらえながら進行していく。
※広島国際映画祭サイトより引用

本の体裁を取る

本シリーズは黄色の独特なナレーション字幕が特徴となっているのですが、第3部にもなるとほとんど字幕で物語が進行します。そして、メタ的な演出を取り込むことによって幾重にも連なる層が映画に奥行きを与えます。まず第3部の1話目が、『千夜一夜物語』の基礎となる、シェヘラザードが大臣に殺されないように小話を持ってくる、シリーズで散々語ってきた小話の外側に値する物語が今更ながら綴られるのです。あれだけ現代のポルトガル史にコミットしてきたものを破壊するように、露骨なコスチュームプレイが展開されていく。

そして、その次ではいきなりミュージシャンのドキュメンタリーとなる。この自由さは『私の好きな八月』に通じるものがあります。そして最終章ということで、白黒のドキュメンタリー映像とカラーの映像が多重露光で重ね、過去と未来がクロスし円環の構図となっていくのです。

また注目してほしいのはエンドロールにあります。本作は《本》を意識して作られているので、各小話が何分地点にあるのかを目次形式で流していくのです。この超大作を観終えてこう思うでしょう。《読了》したと。

是非、イメージフォーラム・フェスティバルで挑戦してみてください!

ブロトピ:映画ブログの更新をブロトピしましょう!
ブロトピ:映画ブログ更新

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です