【 #myfff 】『ソヴァージュ/SAUVAGE』男娼の目を通じて視るサファリパーク

ソヴァージュ(2018)
SAUVAGE

監督:Camille Vidal Naquet
出演:Felix Maritaud,Éric Bernard,Nicolas Dibla etc

評価:60点

今年もやってきましたマイフレンチフィルムフェスティバル。日本ではなかなか公開されない、フランスご当地映画をオンラインで楽しめる映画祭。1,200円支払うことでいつでも、ほとんどの作品を鑑賞することができます。昨年は、『スワッガー Swagger』、『1:54』といった大傑作と出会うことができました。なので、今年も参加することにしました。最初の作品は『ソヴァージュ』。昨年のカンヌ国際映画祭批評家週間で、主演のFelix Maritaudに対しPrix de la Révélation(新発見の賞)が与えられた作品だ。これがR18も納得な衝撃的な作品でした。

『ソヴァージュ』あらすじ

貧しい男レオは、男娼として、道ゆく人を引っ掛け僅かな日銭を得て暮らしていた。彼は、薬物と不健康な生活が祟り、病に冒されるが、それでも男娼として生きていく…

現代のサファリパークだ!

いきなり、医者と思われる人が青年の巨根をマッサージするところから始まる。マイフレンチフェスティバルは映倫の管轄外らしく、モザイクなしで強烈な逸物が眼前に飛び込んでくる。これだけで、この作品はどういう作品かが分かる。エロスを全開に出したほぼAVな作品は沢山ある。『ソヴァージュ』は、正直ただ男同士が激しく交わる様子を描いた見掛け倒しな作品に見えるのだが、少し雰囲気が違う。男娼たちの生き様が、野生動物に見えてくるのだ。なので、観る者は、サファリパークに来てしまったかのような気持ちになる。男娼の目は、まさしくライオンそのもの。街やクラブを歩き回り、獲物を見つける。見つけたら素早く飛びつく。行為は激しく、本能を剥き出しにする。同業者に対しては激しく噛み付くこともある。そして、生傷が腫れ上がり、路上で朽ちていく。Camille Vidal Naquet監督は、野生化した人間というのはどうかというのを、とことん追求した。ある意味、見世物ではあるのだが、その気持ち悪さを通じて、観客は未知なる世界の、未知なる人々が抱える問題を知り、それが自分のすぐ隣で起きていたことにハッとさせられる。決してオススメできないし、日本劇場公開は絶望的なのだが、これぞ映画祭映画!面白い作品と邂逅できて満足です。1本目からこれほど大迫力な映画と出会えるとは、この後も楽しみである。

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