FYRE: 夢に終わった史上最高のパーティー(2019)
FYRE

監督:クリス・スミス

0.1 評価:80点

1 『FYRE: 夢に終わった史上最高のパーティー』あらすじ
2 2020年東京五輪は他人事ではない

評価:80点

こんにちは、チェ・ブンブンです。今日は、Netflixオリジナルドキュメンタリー『FYRE: 夢に終わった史上最高のパーティー』を紹介します。

先日NetflixでFyre Festival大炎上を巡るドキュメンタリーが配信されました。これは2017年にバハマの離島で開催されたFyre Festivalの運営が杜撰すぎて暴動に発展した事件の舞台裏を追ったドキュメンタリー。HuluとNetflixが同時期にこの事件のドキュメンタリーを製作したこともあり、巷では話題になっていました。ブンブンはHuluを契約していないので、今回Netflix版を観てみました。そしてこう思いました。

「これって日本の未来なんじゃないか?」

それではいってみましょう!

『FYRE: 夢に終わった史上最高のパーティー』あらすじ

2017年4月。とある音楽フェスティバルが大失敗に終わった。FYREは、エミリー・ラタコウスキーやヘイリー・ビーバーといった人気モデルを起用した広告を大々的に打ち、バハマの離島で高額な音楽フェスを開催しようとしていた。しかしながら、度重なる資金難、杜撰な計画、そして天候が災いし、暴動にまで発展した。本作は、その舞台裏を関係者のインタビューを通じて暴いて行く…

2020年東京五輪は他人事ではない

夢と現実を見極めないと、痛い目に遭う…

本作は、理想によって現実を隠してしまったものの大惨事を観ることができる。サラリーマンが観ると、自分のデッドライン直前の戦慄がフラッシュバックし鳥肌が立つであろう。しかし、安全地帯岡目八目で観ると、非常に面白い。まるで2011年のバードカフェおせち問題をみているような滑稽さがあります。笑ってはいけないのですが、面白いようにどん底に堕ちていくプロジェクトに思わず爆笑してしまいます。

Fyreプロジェクトは、旬なモデルを起用しバハマの離島でどんちゃん騒ぎし、そこで作った映像を使って資金調達を始める。気合の資金調達で、順調に金を集めていった。しかし、そこからが問題。フェスのことを考えないといけないのに、海で酒呑みながら、ダラダラと準備しているのだ。大体この辺にしようと理想理想でプロジェクトを推し進めていく。すると、段々とほころびが出てくる。電力不十分な場所をライブ会場にするもんだから、インフラをゼロから増築しないといけなくなる。また来場者のトイレ問題、食事輸送問題といった課題が山積みとなってくる。それでも主催者は、「料理は寿司とカレーにしよう」と、輸送問題から目を背けます。

そして、開催直前になって全く環境が整備されておらず、その焦りによって来場者からの問い合わせに対する返答も杜撰になる。そうこうしているうちに、ライブに来るはずの出場者が相次いで、ドタキャンを始める。極め付けは、当日朝に降った雨。宿泊客が滞在するテントが、びしょ濡れぐちゃぐちゃになってしまうのだ。関係者は、1969年ウッドストックフェスティバルの奇跡を祈る。しかし、あんなのは廃墟の中ジミヘンがアメリカの国歌を弾き鳴らす伝説のパフォーマンスがなければ終わっていたことだし、文化史的意味があったからこそ伝説になったのであって、こんなパリピが遊びながら作ったイベントでは起きるはずもない。

我々は知っている。来場者が数時間後に知る驚愕を。島につけども、全く音楽が聞こえず、謎のレストランで酒を飲まされまくっている来場者に思わずニヤニヤしてしまう。そして、来場者が地獄のテントの惨事を観た時のOMGに爆笑してしまうのだ。笑っちゃいけないんだけれども、あまりに酷過ぎて涙すら出てきます。そして、島から出ようにも空港が閉鎖され、まさしく『蝿の王』的野生の戦場と化していく有様に戦慄を覚えました。

ただ、これを観て笑っている日本人は、よく周りを観て欲しい。実は、我々のすぐそばにもFYREはありました。それは2020年東京五輪だ。理想だけを夢見て推し進められている本祭は、ここ数回のオリンピックと比べても遥かに予算がかかっている。しかしながら、横ではボランティアを酷使しようとしたり、そもそも東京五輪の開催権を賄賂で買っていた疑惑まで出てきています。そもそも、今となっては開催すら危ぶまれているのですが、もし開催された場合、FYREのような大惨事が起きる可能性は十分あり得るのです。また、東京五輪だけではない。2025年の大阪万博もどうも、年配の政治家の夢だけで推し進められている感じが強く、現実問題から目を背けている雰囲気がFYREの主催者と似ています。

そう考えると、FYREの大炎上は、対岸の火事には見えないでしょ?

これは、日本人必修の人の振り見て我が振り直せドキュメンタリーと言えよう。Netflixで現在配信中なので、是非お試しあれ!