ブンブンシネマランキング2018:新作部門
さあ、今日は旧作部門についてベスト20を発表していきます。今年は、『死ぬまでに観たい映画1001本』コンプリートを目指しているハードコアシネフィルの友達ができたおかげで、互いに刺激し合い、面白い作品と出会うことができました。
それでは20位から順に観ていきましょう。
もくじ
20.かごの中の子どもたち(DE BRUIT ET DE FUREUR,1988)
監督:ジャン=クロード・ブリソー出演:ヴァンサン・ガスプリッシュ、リサ・エレディア、フランソワ・ネグレetc
鑑賞環境:VHS
『ひめごと』などのエロ映画で有名なジャン=クロード・ブリソーの初期作にして、カンヌ国際映画祭カメラドール受賞作品。本作は、SFかジャック・タチかと思い程の異様な光景から始まる。人類が滅亡した世界に見える団地が映し出される。少年は、新居に向かう。その途中で火災が起きているのにスルーする。この時点で、この団地厭だと思う。団地で団欒できる訳がない。そして、放火犯の少年にカメラが映る。住人は保護者に詰め寄る。しかし父親は「俺の息子を殴るではない。」と言いながら、その放火犯である息子を殴る。「殴っていいのは俺だけだ!」
話としてはありがち。ひ弱な少年が暴力的な少年に惹かれていく。しかし、二人は引き離され、ひ弱な少年は女に恋をする。それを暴力的な少年は知り、、、という面白いが、結構似たような話あるよねっという感じ。しかし、本作は徹底したシュールな暴力で世界を支配することで、ひ弱な少年が暴力に惹きこまれていく様子が効果的に描かれている。そして、鑑賞後ずっと心に本作の刃が刺さり離さない。思わぬ傑作であった。
19.奇跡(I Wish,2011)
監督:是枝裕和出演:前田航基、前田旺志郎、平祐奈、オダギリジョー、阿部寛、長澤まさみ、樹木希林、橋爪功、橋本環奈etc
鑑賞環境:Amazon Prime ビデオ
『万引き家族』の原点にして、是枝裕和監督がカンヌに媚びない時代の大傑作。JR九州とジェイアール東日本企画からの依頼で、九州新幹線の全線開通記念向けに作られた《企画もの》にも関わらず、独創的だ!離れ離れになった子どもたちが新幹線でもって結ばれる。引き裂かれた家族が再び一つに結合するまでの感動に『スタンド・バイ・ミー』のようなノスタルジー溢れる青春を配合させる神業に痺れた。個人的にベスト是枝裕和映画だと思っている。
『奇跡』に関するブログ記事
・【『万引き家族』パルムドール受賞企画】『奇跡』は是枝裕和監督のマスターピースだった!
18.ソルフェリーノの戦い(La bataille de Solférino,2014)
監督:ジュスティーヌ・トリエ出演:レティシア・ドッシュ、ヴァンサン・マケーニュ、アルチュール・アラリetc
鑑賞環境:ユーロスペース
2012年の大統領選挙中、結果が見えない中物語を作り上げるという離れ業。そしてコントロールできない赤ちゃん、群衆から逃げずに徹底的に波に乗っていく製作スタイルにぶちのめされた。そして、社会党を支持しているのに、私生活では国民運動連合側の態度を取るヒロインの滑稽無稽さにさらに魅了された。ディスカッション大好き、デモ大好き、権利は勝ち取るフランスならではの作品だ。
『ソルフェリーノの戦い』に関するブログ記事
・【カイエ特集】『ソルフェリーノの戦い』大統領選の渦中で映画を作る離れ業!
17.天国はまだ遠い(2016)
監督:濱口竜介
出演:岡部尚、小川あん、玄理etc
鑑賞環境:Webサイト
濱口竜介『寝ても覚めても』カンヌ凱旋記念としてWebサイトに期間限定でアップされていた短編。『寝ても覚めても』の布石ともなっている本作は黒沢清たる恐怖描写を取り込み、さらにその上を行く戦慄を描いていた。対話の空間に、人を横入りさせるだけで、そこに死の世界を創り出す凄まじいショット、切り返しで生と死を強調するテクニック、濱口竜介のとてつもない才能が蓄積された一本だ。
『天国はまだ遠い』に関するブログ記事
16.ランデヴー(C’était un rendez-vous,1976)
監督:クロード・ルルーシュ鑑賞環境:Webサイト(ナントカチューブではありません)
』の原点は、『男と女』『愛と哀しみのボレロ』等でお馴染みメロドラマの巨匠クロード・ルルーシュが撮った『ランデヴー』にあった!
パリの街を信号無視、歩行者吹っ飛ばす勢い、GTAなら手配度☆になりそうなほどのスピードで車を走らせているだけの短編。しかしながら、一度観るや、没入感が凄まじい。ギゥイーーングングァン、ガチッとメカの忙しなく動く音、モーター音、そして残像すら見えるスピード感に燃える。スマホで観ているのに、周りが見えなくなる。自分が助手席に乗り、パリを爆速するこのドライブの参加者になったような高揚感がある。これはVRでリマスターしてほしい。ちなみに当の『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』では、本作が凱旋門を正規ルートの右回りで走行していたのに対抗し、左回り逆走しています。実際にパリの凱旋門に行くと分かるが、逆走はマジで危険なので、くれぐれも真似しないように。
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