【カイエ特集】『ソルフェリーノの戦い』大統領選の渦中で映画を作る離れ業!

ソルフェリーノの戦い(2013)
La bataille de Solférino

監督:ジュスティーヌ・トリエ
出演:レティシア・ドッシュ、ヴァンサン・マケーニュ、アルチュール・アラリetc

評価90点

今、ユーロスペースでは、カイエ・デュ・シネマ特集が組まれている。夏にアンスティチュ・フランセで上映されたカイエ・デュ・シネマ紙絶賛の作品を上映するイベントだ。今年は『ジャネット、ジャンヌ・ダルクの幼年期

』や『パーク

』といった傑作が多い。ブンブンは夏に見逃した『ソルフェリーノの戦い』を観てきました。政治ドラマのようで堅く難解でつまらなそうなイメージでしたが、これがダークホース。燃料増税への抗議デモでパリが戦場と化したニュースが記憶に新しい今だからこそ楽しめる。フランスの文化がよく分かる作品でした。(次回上映は12/21金曜日18:40〜)

『ソルフェリーノの戦い』あらすじ

時は、2012/5/6。国民運動連合(UMP)のニコラ・サルコジVS社会党のフランソワ・オランドの決選投票。新大統領決定まで数時間に迫る中、とある夫婦にも熱いバトルが勃発していた。テレビレポーターのレティシアは、新大統領誕生の瞬間を捉えるため朝から大忙し!お着替え、子どもたちの世話と目が回りそうなぐらい部屋を駆け回っている。そんな時に限って、離婚した夫ヴァンソンが子どもたちの面会にやって来た!街では右翼と左翼が火花を散らしている中、こちらでは夫婦の仁義なき戦いが勃発したぞ!

これぞ超リアリズム映画だ!

本作は、ドキュメンタリーのようでドキュメンタリーではない。映画のようで映画ではない作品だ。かつて、イタリアでネオリアリズモが一大ムーブメントとなった。ドキュメンタリータッチで市井の人々を撮ることで物語に肉厚な現実を纏わせる手法だ。本作は、コントロールできない、今を最大限物語に取り込んでいる。ドキュメンタリー映画とは違い、事象をスクリーンに転がしておくのではなく、今まさに歴史が変わろうとする瞬間をこねくり回して即興で極上のパンを作りあげた傑作だ。

決して、コントロールできないモノを無理やりコントロールしようとしているのではない。流れるままに任せ、そこから滲み出るウィットに富んだ笑いを物語のアクセントとしているのだ。

物語は、いきなり赤ちゃんが泣き叫ぶところから始まる。ベビーシッターがなだめようとするのだが、全く泣き止まない。ちょっと泣き止んだかと思えば、また号泣だ。新大統領発表まで時間がない!主人公のテレビレポーターのはヒステリックになり、無闇に右往左往しながら、ギャーギャー叫ぶ。そこに、ダメ親父がやって来て、「娘に会わせろ」と言ってくるのだ。互いに、オロオロしながら全く事が進まない様子が滑稽で笑えてくる。

そして、レティシアは現場に直行する。彼女は社会党支持者。フランソワ・オランド側の人々を撮り収める。そこには本物の群衆が映し出されている。熱烈に政治を語る者、祭りだファッションだと喧騒とする街を楽しむ者、サルコジ派と喧嘩を起こす者が次々に映し出される。そして、地獄のような身動きできない群衆でギュウギュウになった道が映し出される。そして、これが痛烈な皮肉として物語を肉付けします。というのも、夫婦間で観ると、妻は明らかにサルコジ派で夫はオランド派なのだから。その矛盾した人物配置が、フランス人気質をカリカチュールのように痛烈に皮肉る。人々は理屈をこねくり回して自分の主張を作り上げる。そして、右か左かに分かれ、味方を作りつつ相手の意見を捻り潰そうとする。個人と個人の、激しい罵り合いはマクロになると、大統領選のような暴動になる。

Manifestation大国フランスだからこそ生まれたとてつもなく滑稽でバカバカしく、そしてアクションで持って自分の権利を勝ち取ろうとするフランス社会の縮図に心揺さぶられました。指を咥えているうちにどんどん地の底の底に堕ちていく日本に住んでいるブンブンからすると羨ましいあまりです。

おまけ:フランスのデモに参加した話

↑当時の様子をブンブン、自ら映像に収めました。

ブンブンがフランス留学中、シャルリー・エブド襲撃事件が発生しました(2015年1月7日)。その週末に、ホストマザーから「ブンブンもデモいくべ!」と言われ、アンジェの広場のデモ集会に参加して来ました。大きな事件があって数日後に、デモ行進が行われるとは衝撃でした。

詳しくは当時書いたブログ記事「“Ç”成人の日?俺『シャルリー・エブド言論の自由デモ』に参加してたわw

」をお読みください。

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