海にのせたガズの夢(2018)
監督:矢口鉄太郎
出演:神谷えりな、宮前杏実、小南光司、光槻りま、赤井英和etc
評価:30点
アップリンク吉祥寺オープンということで、映画館リポートのついでに1年ぶりにココマルシアターに潜入した。それはブログ記事「【映画館レポート】ココマルシアター、あの事件から1年後どう変わったのか…
」で書いたので、今回は実際に鑑賞した『海にのせたガズの夢』の感想を述べよう。
『海にのせたガズの夢』あらすじ
熊野市二木島町の映画部の民は、文化祭で上映する映画の撮影をしていた。そこへ熊野PR動画を撮影に来た監督杉原嘉人が現れる。映画部一行は、彼から映画の極意を教わることとなり親睦を深めていく。そして文化祭で映画が上映される。しかし、そこから映画部に亀裂が入ってしまい、解散の危機に陥ってしまう…魅せるものを魅せていない
本作は熊野の田舎町で映画作りに励む高校生の青春を描いた作品だ。本作は、無名の俳優で構成されており、演技に未熟さがある。この未熟さは最大の武器になる筈なのだが、全く活かしきれていなかった。
映画部のメンバーは思い思い試行錯誤しながら、映画を撮っている。熊野民という、コンプレックスを抱き、東京に羨望と嫉妬を抱きながら。そこに、有名な映画監督がやってくる。映画部のメンバーは懇願し、彼から低予算映画の「工夫」を教えてもらう。
まず、未熟な高校生との対比でこの映画監督が活かされていない。カリスマ性のオーラは0。高校生となんら変わらないラフさなのだ。そして、肝心な監督の技術力を魅せてくれない。自転車にカメラをつけてドリー撮影をしたり、カメラの前に火を灯す技を魅せるが、肝心な映像を魅せてくれないので、未熟な高校生の映画撮影におけるbefore/afterが見えてこないのだ。そして観る者はこう思う。「彼は映画監督でもなんでもないのでは?」と。
』を例に取ると、旅館の女将修行がベースになっているにも関わらず、キーとして祭が使われている。これはうまくいっている。何故ならば、女将修行で積み重なった経験値の象徴として使われているからだ。
しかし、本作には、トラウマや問題を克己する成長の場面があまりに薄い。だからこそ、ラストの映像には疑問が湧いてくる。なんと、熊野PR動画コンクールに彼女が間に合うかどうかがクライマックスになっているのだが、そのPR動画を観ていると、「いつ撮影したのだ?」と疑問を抱き始めるのだ。なんだか、映画部が解散の危機に瀕している中、こっそり抜け駆けして映画監督と真尋がイチャコラ映画を撮っていたように見えてくるのだ。そんな動画を全編丸ごと観客に魅せつける。ブンブンには正直キツイ時間でした。
おい、仲間差し置いて、何しているんだと段々と怒りが込み上げてきて、発狂するかと思いました。
そして映画が終わると、この映画は結局何を描きたかったのだろうかという大きなクエスチョンマークが浮かびます。もちろんメインの軸は映画撮影だ。映画撮影に青春を流し込み、そこから東京への嫉妬と羨望を滲ませ、成長させていく。ただ、そこには大きなノイズとして祭があった熊野PR動画があった!レイプシーンの凄惨さにもコメディにも吹っ切れておらず、エンディングも妙に生々しい、レイプ魔の金全額カツアゲして、熊野PR動画DVDを買わせるものとなっており、個人的になんだかなぁと思ってしまいました。
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