パス・オーバー(2018)
PASS OVER
監督:スパイク・リー
出演:ダンヤ・テイモア、ジョン・マイケル・ヒル、ジュリアン・パーカーetc
評価:30点
今年のスパイク・リーはカンヌを制した『ブラック・クランズマン
』一色に見えたが、実はAmazon Studios製作でもう一本作られていた。そして、既にAmazon プライムビデオで配信されていた。その名も『パス・オーバー』だ。『ブラック・クランズマン』が来年3月に日本公開が決まったのを記念して、『パス・オーバー』を観てみた。
『パス・オーバー』あらすじ
2人の黒人が、銃声響く町に怯えながらダラダラと愚痴を言い合う。そんな中、謎の白人青年が現れる。彼のバスケットには、美味しそうな食べ物が沢山入っており、彼の勧めで2人はご馳走を食すのだが…陳腐な演劇映画
黒人がバスに乗りホールへ向かう。そして、ホールで繰り広げられる60分の演劇を映すという内容。
そして、その演劇は、銃声が響き渡る町の片隅で、2人の黒人が駄話しながら怯える最中、謎の白人が現れるという内容だ。アメリカの演劇文脈に疎いので、客席から響き渡る笑いに、「えっここが笑いどころなの?」と困惑する場面が多い。
しかしながら、『ドゥ・ザ・ライト・シング
』の頃から一貫している、白黒つけられぬ正義、《悲劇の人》というベールに身を隠し他を傷つけてしまう黒人像は健在である。そして、2015年頃から過激さを増している黒人暴動に対するスパイク・リーの強い批判が込められている。実験精神旺盛なスパイク・リーの新たな手法として《演劇を撮る》というフォーマットを使用したこともわかる。
しかしながら、この手法は既に手垢が沢山ついたもの。その割には真新しさはない。『ブラック・クランズマン』に引き続き、観客の《顔》を強調して映すことで、《傍観者》としての黒人像を強調させているようだが、あまりにもアッサリとしている。また、客席の映し方が中途半端故に、客席にカメラを向けるショットに意味を見出しにくくなっている。
結局、ライブビューイングの域を出ない。いや、カメラワークが悪いのでライブビューイング以下の作品であった。
シンプルに演劇で終わらせとけばいいのに、なんで映画にしたの?スパイク・リー先生!
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