【男の魂に火をつけろ!企画】映画映画ベストテン発表

【男の魂に火をつけろ!企画】映画映画ベストテン発表

定期的にブログサイト《男の魂に火をつけろ!

》で開催されるベストテン。今シーズンのテーマは《映画映画ベストテン》でした。《映画映画》とは所謂映画の撮影現場を描いた内幕ものや、映画という概念に迫った作品のことを示すらしい。今年は、『カメラを止めるな!』が前代未聞の大ヒットを引き起こした為、ブログの管理人がこのテーマでのベストテンを募った。さて、ブンブンの映画映画ベストテンについて語っていくとしよう。

1位:ラストムービー(1971)

監督:デニス・ホッパー

『イージー☆ライダー』のデニス・ホッパーの幻の映画にして映画映画の本質を突いた大傑作。サミュエル・フラー一行が西部劇を撮るためにペルーへ行く。しかし、撮影が終わり、バラシが行われたにも関わらずペルーに俳優が残り、延々と現場の余韻に浸る。何故映画監督は内幕ものを撮るのか?それは、映画の撮影現場の高揚感を、遺しておきたいという気持ちがあるからではないだろうか。映画の撮影は困難が次々と押し寄せて来る。それを仲間と一丸となって乗り越える。まさしく文化祭の様な高揚感がそこにある。そしてその祭りが終わると、心にツーンと切なさが残る。延々と祭りの中にいたい!『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』さながらの夢の世界を選ぶとともに、延々と続く夢は虚無であるという地獄を魅せてくれる。まさしく映画映画の冠にふさわしい作品でした。

2位:カメラを止めるな!(2018)

監督:上田慎一郎

ここまでヒットすると、ハードコアな映画ファンからは「大したことない」という意見が出てきたり、ベストテンの順位を落とし始める『君の名は。』に近い現象がおきている作品。しかしながら、この映画は《映画》とは何か?コメディ映画とは本来どうあるべきか?を真摯に考え、尚且つ抜群のツイストで観客に驚きを与える映画の教科書として素晴らしい作品だ。近年のコメディ映画は日本だけでなくハリウッドも、内輪ネタ業界ネタ、時事ネタをふんだんに盛り込みガチだ。そのネタを知らないと笑えない。そしてそのネタを笑えない人を無視した作風が主流となりつつある。しかし、普遍的な映画というのはそういう要素を廃したところにある。ましてや《観客を楽しませる》というところに特化したコメディ映画というジャンルにとって、究極とはどんな人種老若男女が観ても笑える要素しかないところにある。『カメラを止めるな!』はゾンビ映画という程を取っていながら、全くもってゾンビ映画のネタをひけらかすことなく、純粋な映画の面白さを追い求めた。そして、映画撮影の現場で巻き起こるドタバタに、学校や会社の活動で起きるドタバタに転嫁できる程の普遍性を持たせた。故に最強の映画映画であることを声を大にして言いたい。

3位:楽日(2003)

監督:ツァイ・ミンリャン

閉館日を迎えた寂れた映画館でかつて大ヒットしたキン・フーの映画『血闘竜門の宿』が上映される。その様子を淡々とカメラは捉える…映画館で映画を観るとはどういうことなのか?それは、タイムマシンで過去に遡ることである。そして過去での体験を共有することである。映画が作られる以上、映画を観るという行為が付随する。本作は映画を映画館で観るという体験がどういうものなのかをドライに描いた。映画館で働いていたブンブンにとって、また映画館が閉館する瞬間を観てきたブンブンにとってとてつもなく心に響いた作品であった。

4位:アクト・オブ・キリング(2012)

監督:ジョシュア・オッペンハイマー、クリスティーヌ・シン、匿名者

映画監督、インドネシアに潜入。インドネシアの右派勢力はかつて虐殺を行った。そして今でものうのうとインドネシアでヤクザな活動をしている。そんな彼らに虐殺の再現映画を作らせる為に監督は潜入したのだ。このリアル『地獄でなぜ悪い』は、次々と目を覆う光景が広がっており観たときに強烈な衝撃をもたらした。ドキュメンタリー映画のタブーの臨界点を観客に突きつける。そして嬉々として、虐殺を演じる当事者に背筋が凍った。フランス留学中にジョシュア・オッペンハイマー監督にインタビューしたのだが、あれだけの地獄を捉えておきながら淡々と恐れなくして世の隠れた真実を伝えようとしている姿に痺れた。思い出補正もありここにランクインした。

5位:カイロの紫のバラ(1985)

監督:ウディ・アレン

銀幕からスターが出てきて恋に落ちる…映画好きなら誰しもが抱く願望であろう。映画好きでなくても、テレビやスマホというスクリーン越しに映る人に会ってみたい!恋したいという欲は誰しも持っているであろう。この映画は、映画館で銀幕スターが映画から抜け出して、陰日向ので生きる者に希望を与える夢のような作品だ。映画を年間何百本も映画館で観る人に取って、映画は日々のストレスを癒す薬である。ウディ・アレンはその映画の特性を最大限に引き出した。

6位:100人の子供たちが列車を待っている(1988)

監督:イグナシオ・アグエロ

チリの片田舎で映画を知らぬ子供たちに映画を教えるドキュメンタリー。よく映画祭では、子供向けのワークショップが開かれる。その意義とは、単に映画の面白さを伝えるだけではなく、映画を通じてコミュニケーション力や問題解決能力、想像する力を養う。本作は、映画のワークショップドキュメンタリーとしての領域に止まらず、教育とはなんなのかを教えてくれる作品だった。教員免許取得の為、教育実習に行ったブンブンにとって非常に勉強になった作品だ。

7位:ぼくとアールと彼女のさよなら(2015)

監督:アルフォンソ・ゴメス=レホン

死にゆく彼女のために映画を作る。映画のオマージュに溢れた作品であるが、ここまでオマージュを効果的に使った作品はあっただろうか?ただ『めまい』等の名作をアレンジすることしかできなかった、男の子二人が、彼女の為にオマージュから自分の作家性を見つけ出すところまで進化する過程が清々しく描かれる。しかも、ラストで使われる映画が「そこか!」とびっくりするところから持ってくるので、本当に興奮しました。

8位:殺人者はライフルを持っている!(1968)

監督:ピーター・ボグダノビッチ

コーマン兄弟の無茶振り、契約切れ間際のボリス・カーロフ主演『古城の亡霊』の映像を20分以上使い回し、90分程度で収めるという無茶苦茶な要望に対し、鬼才ピーター・ボグダノビッチは2つの物語を衝突させることで見事解決してみせた。タランティーノは映画館でナチスを殺した。本作は、その遥か前に映画館で殺人者と決闘した。落ち目の俳優が如何にして、銃を持たず、走ることもせずライフル男と戦うのか?そこのアイデアに痺れました。

9位:僕らのミライへ逆回転(2008)

監督:ミシェル・ゴンドリー

当時としてももはや失われかけた文化としてあったVHSに対する愛。そして映画を作るって自由で楽しい活動なんだということを教えてくれる傑作だ。実はこの作品は、ブンブンが映画ノートをつけ始めて最初に映画館で観た作品。TOHOシネマズシャンテで母親と一緒に観て、一気に映画に目覚めた作品でもある。映画映画とは監督の映画愛を如何に盛り込むかが肝になってくることが多いのだが、本作はその最たるものだろう。

10位:ホドロフスキーのDUNE(2013)

監督:フランク・パヴィッチ

存在しない映画について語るだけの作品なのになんてロマンがあるんだろう。鬼才・ホドロフスキーが頓挫に終わった『DUNE』の製作秘話を面白おかしく語る。しかし、面白おかしく語る中で、次第に彼の怒りが見えてくる。そしてその怒りが原動力となり、近年再び映画を量産するようになった。一人の映画監督が変わる瞬間を描き、そして幻の映画故、多くの映画監督たちに影響を与えたロマンの塊がここには満ち溢れていた。

最後に…

いかがでしょうか?なかなか映画映画というジャンルでベストテンを作る機会がないので、新鮮なラインナップになりました。もし興味ある方は、《男の魂に火をつけろ!

》で自分の想い想いのお酒映画について語ってみてはいかがでしょうか?

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