『ラストムービー』ヒッピーとはビューティフル・ドリーマーだ!

ラストムービー(1971)
THE LAST MOVIE

監督:デニス・ホッパー
出演:デニス・ホッパー、サミュエル・フラーetc

評価:80点

長らく鑑賞不可の幻の作品とされていたデニス・ホッパーの作品が最近リマスターされたらしい。日本でもそのうち上映されるでしょう。

先日、TSUTAYA渋谷店に行ったらまさかのVHSが出土した。なので一足早く観てみた。

『ラストムービー』あらすじ

サミュエル・フラー監督一行は、西部劇を撮るためにペルーを訪れる。ペルーでの撮影も終わり、撮影隊は帰って行く。しかし、ペルーに止まり続ける者がいた…

ヒッピーとはビューティフル・ドリーマーだ!

話はあってないようなもの。サミュエル・フラーがペルーで西部劇を撮るのを淡々と映す。そして撮影が終わると《THE LAST MOVIE》というタイトルがドンと出る。後は、ペルーに残った役者のサイケデリックな日常(『イージー☆ライダー』のドラッグシーンのよう)がただ描かれるだけだ。

本作はなんなんだろうか?

1969年ウッドストックフェスティバルを頂点に、世界中で起きていたカウンターカルチャー、学生運動が収束する中で社会から隔絶された人々がヒッピーになる様を暗示しているように見える。祭のような映画撮影。その渦中にいながらも、どこか蚊帳の外に感じていた者が、祭の終わりの仄かな香りを求め虚無を彷徨う。現実に戻れなくなってしまった姿を、ペルーでの映画撮影に置き換えている。

祭に取り残された人々の哀愁ある熱気、まさしく押井守が『ビューティフル・ドリーマー』で描いてみせた景色がここにもあった。撮影地はペルーだし、映画の内幕者だし、我々の生活とかけ離れた物語にも関わらず、本作が観る者の心を深くエモーショナルな槍で抉るのは、まるで文化祭が終わり、いつもの授業、いつもの部活、いつもの日常に戻る時に感じつ切なさがフラッシュバックするからであろう。日本であれば、学園ドラマとしてエモく描くものをヒッピー、デニス・ホッパーは西部劇の撮影現場に置き換えて撮っていたのだ。

これはアメリカ文化史の観点から非常に重要な作品である。そして、今回4Kリマスターされたことで鮮明な映像でこのエモーショナルな世界が体験できるとなると、ニヤニヤ、ワクワクが止まらないブンブンであった。

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