【Netflix】『7月22日』本当にあった『ダークナイト』な話

7月22日(2018)
22 July

監督:ポール・グリーングラス
出演:Jon Øigarden, Øystein Martinsen, Anders Danielsen Lie etc

評価:75点

ヴェネチア国際映画祭で公開され賛否両論となったNetflix映画『7月22日』が配信されたので観てみた。ジェイソン・ボーンシリーズの監督ポール・グリーングラスがノルウェーの製作陣と共に作り、現地人からの反対も押し切って公開までこぎつけた問題作である。

『7月22日』あらすじ

2011年7月22日に起きたノルウェー連続テロ事件の映画化。極右の男アンネシュ・ブレイビクはオスロ政府庁舎を爆破させ、オスロ市内を混乱させている間に、ウトヤ島で子どもたちを虐殺した。彼は逮捕され、裁判にかけられることになるのだが、、、

拷問の2時間半

本作は、拷問のような映画であった。まず、冒頭30分以上かけて、極右の男アンネシュ・ブレイビクが人々を虐殺していく様子がドキュメンタリータッチで描かれる。恐れも迷いもなく、淡々とミッションを遂行していく彼。そっと、白いバンを政府庁舎に置き立ち去る。そしてバンを爆破させ、陽動を成功させている間に子どもたちがキャンプをしているウトヤ島にやってくる。島に渡るや、大人を華麗に射殺し、ゴッツイライフルで、一人、また一人と殺していく。彼は、子どもたちを「裏切り者だ」と言いながら容赦なく殺していく。この果てしない殺戮に精神が引きちぎれそうになる。

そして、ようやく彼が逮捕されたかと思うと、2つの地獄が幕を開ける。一つは、生き残った者の苦悩だ。生き残ったはいいものの、PTSDのようにトラウマに襲われたり、また政治的主張の為に利用されようとしたりする。社会の渦に飲み込まれ、消費されそうになってしまう人。そして、犯罪者への復讐は、「生きる」ただ一つだと気づき、生き地獄を這うようにして彷徨う人が描かれる。

そして、アンネシュ・ブレイビクを弁護しなくてはいけない男と家族の苦しみも同時に描かれる。人権の関係で、共感度0の犯罪者を弁護しなくてはいけなくなり、社会から村八分にされていく姿が痛烈に描かれているのだ。果たして、この弁護士に人権はあるのかといった問題提起がされる。

この作品を観ると、『ダークナイト』のジョーカーを思い浮かべる。人間の弱みにつけこんで甚振る。逆上したり、自殺したら完全に相手の思う壺で、生き地獄と向き合わなければ決して彼に勝つことはできない。この厭らしい悪に、観ている者は発狂したくなることでしょう。これは明らかにNetflixでないと作れないような作品だ。今週必見のNetflix配信作品であることは間違いありません。

ブロトピ:映画ブログ更新

ブロトピ:映画ブログの更新をブロトピしましょう!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です