『ザ・ライダー』アメリカで話題の馬映画!新時代のリアリズム

ザ・ライダー(2017)
The Rider(2017)

監督:クロエ・ジャオ
出演:ブレイディー・ジャンドロー、リリー・ジャンドローetc

評価:70点

Air Canadaで『荒野にて』と合わせて、アメリカで話題の馬映画『ザ・ライダー』を観てみた。

『ザ・ライダー』あらすじ


大怪我を負ったカウボーイが新たなアイデンティティや生きる意味を見いだすまでの物語を、モデルとなった人物が主演を務め映画化したヒューマンドラマ。アメリカ中西部のサウスダコタ州。カウボーイの青年ブレイディは、事故で頭部に大怪我を負ってしまう。ロデオ復帰への捨てきれない思いと後遺症との間で葛藤しながら、自分の生きる意味を探し求めるブレイディだったが……。主人公のみならず、彼を取り巻く登場人物にも本人たちを起用。中国出身の新鋭クロエ・ジャオが監督・脚本を手がけ、第53回全米映画批評家協会賞と第28回ゴッサム・インディペンデント映画賞でいずれも作品賞を受賞した。
映画.comより引用

新時代のリアリズム

落馬し大怪我を負い、乗馬に対して恐怖を抱くようになった男の再生の物語。本作の面白いのは、中国人監督クロエ・ジャオが、実際のロデオライダー、ブレイディー・ジャンドローのエピソードを本人に演じさせているということだ。だから、生傷も落馬動画も全てホンモノ。落馬したことで、《ライダー》としての人生が終わったブレイディー。彼の住む場所は僻地な為、仕事はない。辛うじて、乗馬を教えたり、馬の世話をして日銭を稼ぐ。しかし、人生のやり甲斐を、落馬経験により生まれた恐怖心で潰され、生きる気力が失われてしまっている。淡々と流れる時だけが彼を癒すのだが、完治までの道程は長い。

本作はミッキー・ローく主演のプロレス映画『レスラー』のように地に堕ちた人が、地を這いながら復活を遂げていく様子にカタルシスを感じる作品だ。ただ、『レスラー』とは違い、こちらは半分ホンモノ。それだけに、観る者の心を激しく動かすものがあった。
今や、ARやVR等で仮想と現実の境目が段々なくなってきている。かつて、ロケ撮影すれば、リアリズムだと言われていた時代があった。しかし、今やそれは通用しない。もはや、役者が演じるものは作り物に感じてしまう。しかし、ある人のエピソードを当事者本人に演じさせることによって、そこに新時代のリアリズムが生まれる。『15時17分、パリ行き』と並び新時代の映画技法の片燐をみた作品でした。
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