【ネタバレなし】『荒野にて』A24がまたしても快進撃!今度は《馬》だ!

荒野にて(2017)
LEAN ON PETE(2017)

監督:アンドリュー・ヘイ
出演:トラヴィス・フィメル、チャーリー・プラマー、
クロエ・セヴィニー、スティーヴ・ブシェミetc

評価:75点

日本公開は2019/04/12(金)だが、Air Canadaの機内エンターテイメントで馬映画『リーン・オン・ピート』を一足早く鑑賞しました。本作は『さざなみ』のアンドリュー・ヘイ監督が最強のインディーズ映画会社A24と組んだ作品。そしてヴェネチア国際映画祭で主演のチャーリー・プラマーがマルチェロ・マストロヤンニ賞を受賞した。チャーリー・プラマーと言えば、『ゲティ家の身代金』で誘拐されるボンボン息子を好演した今話題の男優である。昨年から注目していただけにワクワクしながら鑑賞した。果たして…

『リーン・オン・ピート』あらすじ

父が働けなくなった為、馬の世話の仕事に就いたチャーリー。彼は、引退した競走馬《リーン・オン・ピート》の世話をすることになる。いつしか友情が育まれる。しかしながら、《リーン・オン・ピート》は殺される運命にあった。感情が高ぶったチャーリーは、逃すことにするのだが…

A24が贈る『バルタザールどこへ行く』

アンドリュー・ヘイ監督はチャーリー・プラマーの秘めた演技力を120%引き出した!

母の愛情を知らぬ少年、父までも怪我で倒れてしまう。学校には通っておらず、居場所はない。心に抱える傷を癒してくれるものはない。それを癒してくれたのは老いた競走馬だった。心に溜まった膿を絞り出すように、馬に話しかける。孤独な少年の繊細な感情をチャーリー・プラマーは仕草と囁きだけで表現する。そして、我々の住む世界からかけ離れた作品にも関わらず心の琴線が揺れ動かされる。チャーリー・プラマーは『ゲティ家の身代金』でもそうだったったが、アンニュイな表情とオーラから、複雑に絡み合う心の葛藤、焦りを表現するのが上手い。ヴェネチアを制したのも納得だ。また、アンドリュー・ヘイ監督は地味で静かな本作にメリハリを与えるべく3振りショッキングなスパイスを加えた。思わずのけぞってしまうようなシーンがこれまた粋。少年の宿命、広大だが閉鎖的空間で血が疼く者の隠し刃をチラリと魅せることで、凡庸な自分探し系ロードムービーから一歩先に進むことができた。

まるでロベール・ブレッソンの『バルタザールどこへ行く』を思わせる、ヒトとウマの心の繋がりを強烈に画面に焼き付けた傑作と言えよう。

※2019/04/12(金)日本公開決定

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